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マンCに「0-6」のチェルシーだが、
サッリ解任の決断を下すのは尚早。

posted2019/02/18 13:00

 
マンCに「0-6」のチェルシーだが、サッリ解任の決断を下すのは尚早。<Number Web> photograph by Getty Images

メガクラブ同士の一戦でこれほどまでのスコア差がついてしまうのは珍しい。サッリ体制のチェルシーにとって正念場だ。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 2019年2月10日。チェルシーの歴史に不名誉な出来事が加わった。

 同日、0-6でマンチェスター・シティに敗れた一戦は、28年ぶりとなる6点差以上の大敗だった。2003年のロマン・アブラモビッチによるクラブ買収で幕を開けた強豪としてのチェルシー史上では、前代未聞の惨敗である。

 北西部のマンチェスターまで駆けつけたチェルシーファンには、過去最悪にして最長のアウェイゲーム観戦と感じられたに違いない。その一方で、多くのファンはキックオフ前にエティハド・スタジアムでの失点と苦戦を覚悟してはいたはずだ。

 昨年12月の同カードでは勝利(2-0)を収めたとはいえ、前半の無失点は、マウリツィオ・サッリ監督も認めたように「幸運」に助けられた部分が大きい。マンCのゴールゲッターであるセルヒオ・アグエロの負傷欠場もその1つだった。

0-10を避けられたのが収穫。

 それにしても試合後、ユース出身で現在はダービー(2部)助監督のジョディ・モリスがツイートした「0-10のスコアを避けられたことが唯一の収穫」との言葉に、力なくうなづくしかなかったし、そんな事態になろうとは思ってもみなかった。

 そしてゴール裏の一角に陣取ったチェルシーサポーターの中には、ハーフタイムに席を立ったまま戻らなかった者もいた。気持ちは理解できる。

  開始3分、エデン・アザールがドリブルを仕掛けたプレーまでは良かったが、1分後のセットプレーからあっさり先制を許すと、あとは失点への不安と屈辱が増す一方だった。4点差で迎えた35分過ぎには、ホームの観衆から「モウリーニョが必要だな」とのチャントでからかわれた。

 マンチェスター・ユナイテッドでは堅守志向が裏目に出たジョゼ・モウリーニョだが、彼なら少なくとも大敗回避のベンチワークを見せていたはず。そう考えると、反撃のしようもない“口撃”だった。

 後半もチェルシーの奮起は見られなかった。アグエロにはハットトリックを達成された。集中力が高いはずの右SBセサル・アスピリクエタが、対峙したラヒーム・スターリングに不用意な形でPKを与えた。チームの体たらくを象徴するシーンだった。

【次ページ】 屈辱のチャントまで響く。

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