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ティキタカの終焉とサッカーの進化。
オシムが語る、決勝前に考えるべきこと。
 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2018/07/15 11:00

ティキタカの終焉とサッカーの進化。オシムが語る、決勝前に考えるべきこと。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

全選手の中で最も長く走っていると言われる選手が32歳のルカ・モドリッチ。6試合で604分間プレーし、約63キロを走り抜いている。

「フランス代表は『世界選抜』と言っていい」

――決勝の相手はフランスです。

「決勝は興味深いものになるだろう。フランスが有利だとは思うが……。というのはベンチに控える選手の層ではフランスの方が充実しているからだ。交代のカードはフランスの方が豊富だし、フランスの控え選手たちは先発でもプレーすることができる。

 クロアチアはそうではない。しかし決勝は、彼らにとって新たな挑戦でもある。

 フランスはいずれも名の知れた選手ばかりだ。フランスのクラブでプレーする選手も、また他国のビッグクラブでプレーする選手も錚々たる顔ぶれで、世界選抜と言っても過言ではないほどだ。厳しいチャレンジであるのは間違いないが。

 しかし延長やPK戦を経て勝ちあがるのは、いいことである場合もある。観客にしても、90分で決着がつくよりずっとスリリングでサスペンスに満ちている。勝利の喜びも大きいし、負けても何がしかの満足感は得られる。

 とにかくクロアチアが決勝に進んだのは、政治的にもポジティブだ。

 どこの国も政治や経済の深刻な問題を抱えているが、サッカーはそれをいっときでも忘れさせるし、多少なりとも緩和することもできる」

息子アマルの現在の成長ぶりを日本に伝えたい。

――クロアチアは確かなものを世界に示しましたね。

「これからちょっとテレビを見たい。というのも(息子の)アマルがボスニアのテレビで解説をするからだ。ワールドカップの期間中、彼はずっとテレビでコメントを続け、そこで自身のサッカー哲学なども語っている。

 彼の現在の姿が日本に伝えられていないのが残念だ。日本でもナビスコ杯に優勝はしたが、その後の彼はヨーロッパで大きく成長した。彼がこれからテレビで何を言うか。つまらないことだったら後で私もきつく言わねばならない(笑)」

――大会もいよいよあと2試合(インタビュー時点)を残すのみとなりました。

「このワールドカップがいい大会だったといえるのは、多くの試合が延長戦にもつれ込んだからだ。あるいは試合終了間際の決勝ゴールなどドラマに満ちていた。サッカーにカタルシスを求められないのであれば、試合を見ても仕方がない。何もせずに大人しくしていた方がいい」

【次ページ】 “ティキタカ”の時代は終わった。

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