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鹿島復権への相棒は最強の芝生。
構想6年、ターフプロジェクトって?
posted2018/03/08 17:00
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「いい色してるねえ!」
鹿島アントラーズにとって、2018シーズンのホーム開幕戦となった3月3日のガンバ大阪戦、キックオフ直前のことだった。トップチームのフィジカルコーチを務める里内猛はピッチを見るなり、IGM株式会社代表取締役社長、鈴木信男を見つけて声をかけた。
「2月14日のACL上海申花戦から新しい芝のスタートだったんですが、『今日の方がより芝も生育して、きれいな緑に色が出ていますね』と言ってもらったんです。すぐに気がついてもらって。この寒い時期をどう乗り越えるか考えているところだったので、よりうれしい一言でしたね」
カシマサッカースタジアムができてから25年を数える。その間、ずっと芝を見続けてきた男は、目を細めてうれしそうな表情を浮かべた。
カシマスタジアムでは、今シーズンより新品種を採用し、ピッチの芝が新しく生まれ変わった。芝の常緑化とスタジアム稼働率向上を目的とした取り組みだ。
鹿島はピッチでも先駆者でないと。
「日本では、芝生がスポーツターフとしてなかなか発展してこなかった。それは他のスタジアムで陸上競技場として管理されていたので、サッカー用の芝として考えられてこなかったところがあります。国内ではサッカーという名称がつくスタジアムは、カシマサッカースタジアムだけ。そこはやはり、先駆者でないといけません」
芝を管理する鈴木は、サッカー専用スタジアムとしての矜持を胸に、これまで取り組んできた。今シーズンスタートのキックオフのホイッスルは、鈴木にとって、新たなステージへの挑戦が始まった合図でもあった。
ピッチを常に良い状態に保つため、これまで様々な試行錯誤が繰り返されてきた。
「芝は生き物です。常に最高の状態で試合を迎えられるように、手入れは日々の観察が最も大切になります。試合前後の修復作業は欠かせません。サッカーにおいて、ゴール前が一番傷みやすく、良い状態を維持することは難しい。そこで素早い張り替えができれば、次の試合で何事もなく試合ができるようになるんです」