とにかく……日本ハムの「循環力」がすごい！

　それにしても日本ハムである。

　北海道に移転してからは若手スターを次々と育て、快く「卒業」も認める。すると次代のスターが入ってくる。大谷翔平からの清宮幸太郎は見事。

　ポスティングの大谷だけでなく、FA権を取得した選手も積極的に引き止めない日ハム。高額な年俸の選手をあっさり手放して若手に切り替えるのはシビアな戦略とも言えるが、徹底している。「循環力」がすごい。

　となると今回清宮を引き当てたのも日ハムが単にクジ運が良いというのではなく、斬新な球団経営に対する必然なのかもしれない。このシステムを構築したご褒美。メンバーが変わりつつも繁栄が続くアイドルグループってこういう感じだろうか。

　そう考えると日ハムや楽天、DeNAなどの若くて新しい球団経営の考えを持ったチームがドラフトでも脚光を浴びるのも納得だ。

　正直、巨人とか阪神とかの旧盟主側に清宮を引き当てるオーラはあまり感じなかった……。

発想は楽天と同じなのに“持ってない”巨人。

　その巨人はドラフトの2位と3位で捕手を指名。

　読売の保守化ならぬ「捕手化」戦略は今ドラフトの謎のひとつであった。

　捕手2人の指名は「野手としての評価も高い。打撃もそうだし身体能力も高いから可能性はあるということ」との高橋由伸監督のコメントがあった（日刊スポーツ　10月27日）。

　興味深かったのは「“偏向”ドラフトの思惑は？ 巨人岡崎スカウト部長明かす」という東スポのインタビュー（10月29日付）。

　外れ1位指名も捕手の村上宗隆（九州学院）だったことを問われ、この辺りの事情に対して、

《捕手は2人は欲しかったからね。村上が獲れたら、2位で岩見（慶大）が獲れたかもしれないね。個人的には岩見もすごい魅力的だったんですよ。日本人で右の長距離砲は貴重。あとは田中（兵庫ブルーサンダース）も欲しかったんだけれど…。どっちも楽天なんだよな。》

　外れ1位指名も含め、発想はほぼ楽天と同じなのに「持ってない」ことがわかる。

　ただ、楽天も巨人も指名の結果は数年後にわかる。今回の運の差がプラスマイナスどちらに出るのか、それもドラフトの長い楽しみの1つだ。

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