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新生女子バレー代表のキーマン宮下遥。
「これはもう失敗できねーなーって」
posted2017/07/06 17:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO
中田久美新監督が率いるバレーボールの全日本女子がまもなく初陣を迎える。
注目は、かつて自身も全日本の司令塔として1984年ロサンゼルス五輪銅メダルを獲得するなど一時代を築いた中田監督が、どのセッターを軸としてチームを作っていくのかということだ。
7月7日に開幕するワールドグランプリに登録されたセッターは、上尾メディックスの冨永こよみ、日立リヴァーレの佐藤美弥、岡山シーガルズの宮下遥の3人。その中では最年少の22歳ながら、全日本でのキャリアも自覚も現時点で最も先を行っているのが宮下だ。
宮下は中学時代、史上最年少の15歳2カ月でV・プレミアリーグにデビュー。2013年、18歳で初めて全日本のコートに立った。その後は毎年選出され、昨年のリオデジャネイロ五輪にも出場した。
「鳥肌が立ちました」という新監督の宣言。
2020年東京五輪に向けたチームが始動するにあたり、今年度の登録メンバー全員の前で、中田監督は熱くこう語りかけたという。
「日本でオリンピックが開催されるということ自体が、本当に本当に本当に本当に、すごいこと。もう4年を切っているけれど、これから私たちが取りかかることは国家プロジェクトです。だから生半可な、中途半端な気持ちじゃあ済まされない」
指揮官のその言葉に、「鳥肌が立ちました」と宮下は言う。
「国家プロジェクトって聞いた時は、これはもう失敗できねーなーって(苦笑)。怖いというか、もう広すぎて、大きすぎて、全然想像がつかない……。でも東京五輪に向けて頑張れる人って限られていますし、その中で挑戦する権利が私にもあるので、それを最初から捨ててしまうのは、やっぱり選んでくれた人や応援してくれる人に申し訳ないし、何より一番、自分のためにならないと思う。だから、未知すぎるけど、『やるだけやってみるか』となりました」
リオ五輪までの4年の間に、日の丸の重みや五輪に関わるプレッシャーを嫌というほど味わい、怖さを知る宮下だからこそ、「国家プロジェクト」という言葉がリアルに突き刺さった。