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男子バレーを生まれ変わらせる仕事。
ブランコーチが掲げる3つのポイント。

posted2017/07/11 08:00

 
男子バレーを生まれ変わらせる仕事。ブランコーチが掲げる3つのポイント。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

5月の始動会見でブランコーチは「私の持っている力、スキルを全て注いで成功に導きたい」と熱く語っていた。

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Asami Enomoto

 ネットから少し離れた場所に置かれたリングに、6本中3本、コート後方や逆サイドからの2段トスが入れば練習終了。きれいにスッとリングの中央を通す選手もいれば、「当たったから今のはOKでしょ」と笑いながらアピールする選手に対し、「ノーノー、ニアーね」とフィリップ・ブランコーチは笑顔でバツ印をつくる。

 彼こそが、日本男子バレー復活のカギを握る男。

 中垣内祐一・全日本男子監督が「戦術や練習内容、試合中の指示は彼に任せている」と全幅の信頼を寄せるブラン氏は、フランス・モンペリエに生まれ、フランス代表のウィングスパイカーとしてプレーした経験を持つ。'86年の世界選手権で最優秀選手となり、'88年のソウル五輪にも出場した。現役引退後は指導者となり'01年から'12年まではフランス代表監督として、バルセロナ以後、五輪から遠ざかっていた母国を12年ぶりとなるアテネ五輪へと導いた。

 その後もポーランド代表でコーチを務めリオ五輪に出場するなど、抱負なキャリアを誇るブラン氏だが、アジアのチームを指導するのはこれが初めて。「これまでは見聞きするだけで、特別な印象はなかった」という日本チームに、コーチとして掲げた大きなポイントは3つ。

 スピード、アグレッシブな攻め、割り切ったディフェンス。

 それぞれに込められた意図を聞いた。

「相手のブロック枚数を減らす、ということ」

「日本のように力とパワーで他の外国勢に劣るチームがどのように勝って行かなければならないか。まずは、相手のブロック枚数を減らす、ということを考えなければなりません。

 そこで重要なのが『スピード』ですが、これは単純にトスの速さを高めるということではありません。クイックも含めてさまざまなところから同じスピードで攻撃に入る、そしてセッターがその中からベストの選択ができるパスを出すこと。

 ブロックを振る、イコール速いトスという単純なスピードではなく、そこにはいくつもの要素が関係します。そして、攻撃を展開するために大きなウェイトを占めるのはセッター。相手を見ながらセットし、なおかつ、自チームのアタッカーがどんなセットを望んでいるのか。それも考えながら一番適正なチョイスを素早くしなければなりません。複数の攻撃が生まれるコートの中を、マネジメントするのがセッターの仕事なのです」

【次ページ】 試合で最初に行う2つのアクションが大切。

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