JリーグPRESSBACK NUMBER
中村充孝だけを90分間見つめてみた。
新生鹿島を象徴する元やんちゃ坊主。
posted2017/06/27 11:35
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Kashima Antlers
あなただけ見つめてる。
大黒摩季のヒット曲のように「出会った日から、今でもずっと」とはいかないが、6月25日のJ1リーグ第16節アルビレックス新潟戦の90分間、徹底的に鹿島アントラーズの中村充孝の動きを観察することにした。なぜなら彼が、“大岩チルドレン”と呼ぶべき存在だから。
今季、石井正忠前監督時代のリーグ戦12試合で、先発したのはわずか3試合。それが大岩剛監督に指揮官が代わると、すぐさま初陣の第14節サンフレッチェ広島戦でスタメン起用され、1ゴール1アシスト。続く第15節北海道コンサドーレ札幌戦でも2アシストを記録し、連勝の立役者となった。
石井正忠監督から大岩剛監督への指揮官交代によって、鹿島のサッカーはどう変わったのか。これを知るために、背番号13の動きを見続けることは、一番の近道だろう。
明らかに石井体制の時とは異なる動き方。
キックオフ時、中村のポジションは4-4-2システムの左サイドハーフ。これは石井監督時代から変わらない。ところが試合が始まると、彼の動きは明らかに石井体制時とは変わっていた。
右サイドに、真ん中に、最前線に。ボールが動くたびに、次々とポジションを変え、右サイドハーフのレアンドロや2トップのペドロ・ジュニオール&土居聖真と、テンポよくパスを交換する。
中村だけじゃない。ペドロ・ジュニオールや土居がサイドに移ることもあれば、レアンドロが最前線に飛び込むことも頻繁にある。実際、75分には後方に下がったペドロ・ジュニオールのパスを、相手最終ラインの背後に走り込んだレアンドロが流し込んで、試合を決定づける2点目が生まれた。