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歴史的連敗の元は“清武の乱”にアリ。
采配批判の前に巨人全体の奮起を望む。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2017/06/08 13:45

歴史的連敗の元は“清武の乱”にアリ。采配批判の前に巨人全体の奮起を望む。<Number Web> photograph by Kyodo News

交流戦に入っても連敗を続けることになった巨人。高橋監督は冷静に振る舞うが……。

チームの構造的欠陥の元をたどれば“清武の乱”に。

 開幕から1、2番を任せられる選手がいないから、選手の状態を見ながらめまぐるしく打順を組み替えるしか方策がない。

 結果的には打線を支えるのは坂本、阿部、村田とマギーに移籍してきた石川くらいで、そのうちの坂本と阿部の状態が落ちれば得点力はガタ落ちする。そうしたチームの構造的欠陥が、今回の連敗の根底にあるのだ。

 2011年オフに当時の清武英利GMがコーチ人事を巡って当時の渡辺恒雄球団会長(現読売新聞グループ本社代表取締役主筆)に反旗を翻した“清武の乱”があった。

 その結果、清武GMは解任され、後任の原沢敦GM時代には、まず清武GMが推進してきたチーム作りへの否定ありきで、育成重視の三軍制度を廃止し、なおかつ経費節減から補強費を削減する時代が続いた。

 ドラフトも現場の要望から投手偏重の時期が続き、チームを支える野手の補強を怠ってきた。その結果、過去6年間のドラフトでレギュラーとなっているのは捕手の小林誠司くらいしかいない。

 その間のドラフトで例えば広島は菊池涼介や鈴木誠也、田中広輔らの主軸選手を指名しレギュラーに育て上げ、他チームも着実に若手の育成を行なってきた。

 そういう意味ではこの連敗は“清武の呪い”なのである。

記録的連敗に対しては、球団全体での取り組みが必要。

 もちろん連敗はいつか止まる。

 高橋監督が言うようにまだ6月で負け越しは9つと巻き返しのチャンスはゼロではない。

 連敗の脱出には真正面から勝負を挑むだけではなく、チームとして例えば相手の先発にいかに球数を投げさせて攻略に結びつけるかとか、徹底して狙い球とコースをしぼっていく、あるいは初回からでもエンドランを仕掛けるなど、ベンチ主導の野球も必要だろう。

 ただ、本当に大事なことは、この記録的連敗で突きつけられたチームの現実にこれから巨人が、球団としてどう取り組んでいくのかなのだ。

“清武の呪い”をどう解いていくのか。

 連敗脱出の後に控えるそのテーマこそが、チームにとっては最重要課題なのである。

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