猛牛のささやきBACK NUMBER
ロメロがいると、オリックスが回る。
不在期間の8勝22敗から復帰後6連勝!
posted2017/06/08 08:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
5月は不振にあえいだオリックスが、交流戦では6連勝スタートを飾り交流戦首位に立った。
4月までは15勝8敗と絶好調だったが、5月に入ると4連敗、6連敗、9連敗と絶不調に陥った。一時は8あった貯金をあっという間に使い果たし、逆に最大9の借金を背負った。ところが5月28日に連敗を止めると、5月30日から始まった交流戦で連勝を7に伸ばした。
この乱高下のキーマンとなっているのは、今季加入したステフェン・ロメロだ。ロメロが“いる時”と“いない時”でチームの明暗がくっきり分かれている。
今では「スタートダッシュに成功した」と言われるオリックスだが、振り返れば、開幕カードはホームで東北楽天に3連敗という最悪のスタートだった。
しかし、4戦目の埼玉西武戦でロメロが3点本塁打を放つと、チームは初勝利。そこからロメロは4試合連続弾でチームを連勝に導き、救世主となった。オリックスの快進撃はそこから始まった。
ロメロの離脱で、5月は得点力が半分以下に。
4番に定着したロメロは、豪快な一発だけでなく、場面によっては巧さや泥臭さも発揮し得点につなげた。その頃、選手たちは揃って「つなぐ意識」を口にした。とにかくつなげば、ロメロや小谷野栄一、T-岡田という好調なクリーンナップがランナーを返してくれるという絶対的な安心感があった。
打撃での貢献だけでなく、ロメロは凡打でも全力疾走して併殺を防ぐなど、走塁や外野守備も全力でこなし、日本語も積極的に覚えた。そうした姿勢もチームメイトが信頼を寄せる一因だった。
ところが、4月22日の千葉ロッテ戦でファールフライを追ってフェンスに激突。左膝大腿骨骨挫傷と診断され、25日に登録抹消となってしまった。
すると、面白いようにつながっていた打線がピタリと止まった。ランナーを出しても“あと1本”が出ず得点につながらない。そんな重苦しい試合が続いた。5月はチーム打率や得点も急降下。3、4月は1試合平均4.48得点だったが、5月は28日まで2.1得点と落ち込んだ。負けが込むほど、つなぐ意識よりも「何とかしなくては」という意識が強くなり各打者に力みが生まれた。