酒の肴に野球の記録BACK NUMBER

最も非力な2000本男の“本業”。
荒木雅博、守備記録の上位を独占!?

posted2017/06/07 11:30

 
最も非力な2000本男の“本業”。荒木雅博、守備記録の上位を独占!?<Number Web> photograph by Kyodo News

野球はチームスポーツながら「連係」という表現を使うことは少ない。しかしアライバが見せる守備はお互いの意図を感じ合った絶妙のものだった。

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph by

Kyodo News

 中日の荒木雅博が、NPB史上48人目の2000本安打を記録した。この選手、記録マニアにはいろんな意味で「おいしい」のだ。

 何と言っても「史上最も非力な2000本安打者」なのだ。

 通算本塁打数は33本、これは下から2番目の宮本慎也(元ヤクルト・62本)の半分強。21年間の実働年数で年間最多の本数は「4」。中日の同僚ゲレーロはついこの間、6試合で7本打ったが、荒木がこれだけ打とうと思えば2シーズン弱かかってしまうのだ。なお打点も460で、宮本の578打点を下回る最下位である。

 3割以上は2回、打撃ベスト10入りは1回、打撃タイトルは2007年の盗塁王だけ。これまで最も非力な2000本安打者だった宮本慎也の下を行く、新たな「細腕2000本安打者」の誕生なのだ。

 しかし宮本慎也もそうだったが、ここまで非力な荒木雅博が、野手の「夢」とされる2000本に到達したのには、ちゃんと訳があるのだ。

 荒木は二塁手として1629試合に出場している。これは、中日の先輩、高木守道(2179試合)、山崎裕之(1883試合)、大石大二郎(1795試合)に続いて史上4位だが、その守備能力が半端ではなかったのだ。

'05年のアライバは1590ものアウトを取った。

 守備の名手、荒木のすごさは、荒木単体ではなく、遊撃手・井端弘和とのコンビで見るときに、よりくっきりと見えてくる。

<NPBのシーズン二遊間2人の刺殺+補殺数と試合数>

2005年 中日 荒木雅博 井端弘和 1590(291試合)
2016年 広島 菊池涼介 田中広輔 1523(284試合)
2009年 中日 荒木雅博 井端弘和 1503(284試合)
2015年 広島 菊池涼介 田中広輔 1496(284試合)
1956年 阪急 バルボン 河野旭輝 1494(288試合)
2005年 横浜 種田仁 石井琢朗  1486(291試合)
1954年 近鉄 山本静雄 鈴木武 1471(266試合)
2016年 日本ハム 田中賢介 中島卓也 1457(285試合)
2009年 日本ハム 田中賢介 金子誠 1441(280試合)
2010年 ソフトバンク 本多雄一 川崎宗則 1428(288試合)

 シーズンで最も多くのアウトを稼いできた二遊間は、2005年のアライバコンビなのだ。2005年の中日は阪神から10ゲーム差の2位に終わったが、この年の中日の二遊間は強烈な「アウト製造マシン」だったのだ。

【次ページ】 広島の「キクタナコンビ」も、まだ大きな差がある。

1 2 3 NEXT
#荒木雅博
#井端弘和
#中日ドラゴンズ
#宮本慎也

プロ野球の前後の記事

ページトップ