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ブンデス日本人の今季を採点する。
MVPは大迫、宇佐美は戦術合わず……。 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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posted2017/05/28 07:00

ブンデス日本人の今季を採点する。MVPは大迫、宇佐美は戦術合わず……。<Number Web> photograph by AFLO

得点を奪う、お膳立てするのいずれかで結果を残した選手はいる。しかし今季の大迫はゴール、アシストどちらにも絡んだのは数字からも明らかだ。

円熟のリベロ長谷部は右膝負傷さえなければ……。

<長谷部誠(フランクフルト)>
採点:3.0 22試合(先発21/1887分出場)1得点・1アシスト
主な起用ポジション:リベロ、ボランチ

 フランクフルトのニコ・コバチ監督によるコンバートに応え、リベロとして新境地を開いた。持ち前の丁寧なショートパスやドリブルによる持ち上がりでビルドアップの起点となり、守備時は巧みなカバーリングやライン操舵を披露した。

 コバチ監督からは「晩年にリベロでプレーしたマテウスのようだね」と絶賛された。チームが苦しい時間帯に手を叩いて味方を鼓舞するなど、チームリーダーとしての堂々とした振る舞いも印象深い。

 ピッチ上での純粋なパフォーマンスだけなら、採点は悪くても「2.5」に値する。減点材料は負傷離脱だ。第24節のバイエルン戦で左足の脛を6針縫う怪我を負ったうえ、その直後に判明した右膝の軟骨損傷で、ラスト10試合は欠場を余儀なくされた。

 1.125だったチームの1試合平均失点が、長谷部離脱後に1.6まで跳ね上がったのは偶然ではないだろう。他にも怪我人が発生した影響もあるとはいえ、ドルトムントのトゥヘル監督はフランクフルトが終盤に失速した理由として「長谷部のような重要なプレーヤーを欠いているからね」と指摘していた。

香川は停滞した前半戦から一転、後半戦では大活躍。

<香川真司(ドルトムント)>
採点:3.5 21試合(先発13/1258分出場)1得点・6アシスト
主な起用ポジション:トップ下、インサイドハーフ

 悔やまれるのがシーズン前半の停滞だ。足首の負傷を抱え、コンディションが上向かなかった。その間にポジションを争うゴンサロ・カストロやラファエウ・ゲレイロらが株を上げ、トーマス・トゥヘル監督の信頼を取り戻すのに時間を要した。前半戦の国内リーグにおける個人成績は8試合出場(先発5)、ゴールを一つも決められなかった。

 巻き返したのは放出の噂が取り沙汰されるようになった今年3月から。トップ下もしくは2シャドーの一角として、毎試合のように違いを作り出した。なかなか波に乗り切れないチームの起爆剤となり、CLストレートインの権利が得られる3位でのフィニッシュに貢献。中盤戦から終盤戦にかけての働きぶりは、大迫のそれに勝るとも劣らなかった。

 地元紙『ルールナハリヒテン』に「今季のベストパフォーマンスかもしれない」と絶賛された最終節に続き、5月27日に迫るDFBポカール決勝でも輝きを放てるか注目だ。

【次ページ】 原口は序盤戦こそ目立った活躍を見せていたが。

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