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1年目のCL制覇より今季のリーガ優勝。
ジダン監督の評価が急騰する理由。

posted2017/05/27 11:30

 
1年目のCL制覇より今季のリーガ優勝。ジダン監督の評価が急騰する理由。<Number Web> photograph by AFLO

実は意外なことに、ジダンが現役時代にリーガで優勝したのは1度だけ。監督として、その数字を越えるのは時間の問題にも見える。

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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 試合後の会見場。ジダンが語りはじめてほどなく、マルセロ、カゼミーロ、ダニーロ、モラタ、ルーカスの5選手がシャンパンを撒き散らしながら乱入してきた。

「カンペオーネス! カンペオーネス!」と大声で歌う彼らに全身ずぶ濡れにされた後、再び席に着いた指揮官はいつもと変わらぬ穏やかな笑みを浮かべながら、静かに口を開いた。

「功績はみなのものだ。何より信じてくれた選手たちのね。苦しみ、戦ったのは彼ら選手たちだ。24人に平等にプレー時間を与えるのは難しいことだが、結局はそれが鍵となった。私はその一部を担っただけさ。38節を終えて首位に立っている……。プロ生活の中で最も幸せな日だ」

ゴール数も、失点の少なさもリーガのトップではない。

 5月21日、レアル・マドリーはマラガとのリーガ・エスパニョーラ最終節を2-0で制し、通算33度目のタイトルを手にした。

 前回優勝した5年前は、どちらも当時の史上最高記録となる勝ち点100、総得点121を叩き出したが、今季のマドリーはそこまでずば抜けた数字を残していない。得点数106はバルサの116に及ばず、失点数41はアトレティコ、ビジャレアル、バルサを下回った。完封したのも10試合だけだ(アトレティコは20、ビジャレアルは16、バルセロナは13)。

 プレー内容が飛び抜けて良かったわけでもない。むしろその逆で、90分間ライバルを圧倒し続けるような試合はほとんどなかった。

 バルサとは1分1敗、アトレティコとは1勝1分、セビージャとは1勝1敗。上位陣との直接対決ではっきり差をつけたわけでもない。

 それでもマドリーは、シーズンを通して最も安定して結果を出し続け、昨季から1月15日のセビージャ戦で途切れるまで、40試合もの無敗記録を樹立した。やはり昨季から続く連続得点記録を64試合まで伸ばし、全試合で得点を挙げてのリーグ優勝という快挙も成し遂げた。

【次ページ】 “干された”はずのハメスさえ1000分以上出場。

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