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東洋大は、今年も優勝を狙っていた。
「青学時代」に抗う名門のプライド。

posted2017/01/11 07:00

 
青学を追うというよりは、早稲田に意識を割く戦いだった東洋大。それでも最後は2位になるのが彼らの強さを証明していた。

青学を追うというよりは、早稲田に意識を割く戦いだった東洋大。それでも最後は2位になるのが彼らの強さを証明していた。

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Takuya Sugiyama

「疲れました、今年の箱根は」

 閉会式会場で東洋大の酒井俊幸監督と出くわすと、いきなりそう話しかけてきた。その真意を尋ねる。

「1区は別として、そこからは一度も前を向いて駅伝をしていないですよね。復路にしても、後ろを気にしながらの展開になってしまって……。後方が気になるというのは、精神的に疲れます」

 2位とはいえ、優勝した青山学院大とは、7分21秒もの大差がついていた。

「青学さんとは正直、ずいぶん力の差があると感じざるを得ません。1区でもう少し服部(弾馬)が揺さぶる展開に持ち込めていれば、また違ったレース運びが出来たかもしれませんが――」

 酒井監督は完敗を認めたが、それでも2位まで引き上げたところに監督の並々ならぬ手腕があったことは間違いない。

東洋大は優勝を狙って1区にエースを置いた。

 何より、勝負に出た。

 12月29日の区間エントリーを見た時は、

「監督、やりやがった!」

と快哉を叫んだほどである。エースの服部弾馬(4年)を1区に起用し、青学大相手に揺さぶりをかけようという意図がハッキリと見えた。箱根はこうでなければ面白くない。

 それに先立つ12月中旬の取材で、酒井監督は、こう話していた。

「服部は『崩し』に使うか、『王道』でいくかどちらかですよね。それはチームとしてどこを目標に定めるかで違ってきます」

 本命・青学大を揺さぶり、優勝さえ狙っていくなら1区、手堅く3位を狙うなら2区というのがプランだっただろう。

 東洋大が服部を1区で使い、貯金を作ろうとするなら箱根は面白くなると予感した。東洋大は勝ちにきたのだ。

【次ページ】 「優勝」こそが東洋大のスタンダードである。

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