箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
青学を強くした「筋肉の優先順位」。
ひねりは不要、腕立てはしない!?
posted2017/01/09 11:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
記録ずくめの優勝だった。1月2、3日に行なわれた箱根駅伝で、青山学院大が史上6校目の3連覇を達成したのである。
往路と復路を制しての完全優勝も3年連続だ。完全優勝による3連覇は史上2校目で、実に80年ぶりに生まれた記録である。
さらに加えて、史上4校目の快挙を成し遂げた。学生駅伝3冠だ。昨年10月の出雲駅伝、同11月の全日本大学駅伝、今回の箱根駅伝のすべてで、青学は最初にゴールへ飛び込んでいった。2016年シーズンの大学駅伝は、青学のためにあったと言っていい。
原晋監督が率いる青学の強さの要因として、これまであまり触れられていないものがある。
箱根駅伝で初優勝を成し遂げた2014年シーズンから、青学にはフィジカルトレーナーが加わっている。かつて女子テニスの伊達公子の現役復帰をサポートし、現在は福原愛らのパーソナルトレーナーを務めている中野ジェームズ修一氏である。中野と彼に師事するスタッフの合計4人が、チームの一員となった。
かつてはサッカー仕様だった体幹トレーニング。
長距離走のトレーニングは、およそ4つで構成される。練習前の準備運動、トラックや公道でのランニング、練習後の整理運動、筋トレなどの補強トレーニングである。
監督やチームの色が出るのは、走るトレーニングだろう。それ以外の3つについては、ある程度決まりきったものが多い。その色を着ける発想さえ希薄だった部分に、原晋監督は光を当てたのだった。
体幹トレーニングという言葉が広く一般に浸透したのは、サッカー日本代表の長友佑都の影響が大きいだろう。そのためか、中野がチームに加わる以前の青学でも、サッカー選手に合うような体幹トレーニングが多く見られた。
サッカー選手は前後左右に走りながら、急激なストップ、ターン、方向転換などが動きに加わる。相手チームの選手とのフィジカルコンタクトがあり、ボールを蹴ったりヘディングをしたりする際には、身体にひねりが加わる。