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FA戦線で気になる「プロテクト外」。
人的補償の“狙い目”を探すと……。

posted2016/11/13 11:00

 
FA戦線で気になる「プロテクト外」。人的補償の“狙い目”を探すと……。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

FA移籍か、残留か。オリックス糸井の去就は阪神の選手も密かに気にしているのかもしれない。

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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Takuya Sugiyama

 FA権の行使を表明した糸井嘉男(オリックス)、陽岱鋼(日本ハム)両外野手の移籍先候補に挙がっているのが阪神だ。2人とも獲得するには人的補償を要するBランクの選手なので、阪神には選手流出のリスクが伴う。

 人的補償の対象にならないのは球団がプロテクト(保護)した28人と直近のドラフトで指名された選手と外国人だ(FA権取得により日本人扱いになった選手も含む)。前所属球団の年俸1~3位がAランク、4~10位がBランク、11位以下は金銭補償も人的補償も発生しないCランクと分類され、今年ならソフトバンクの森福允彦投手がCランクである。

 糸井、陽以外にも今年はFA権を行使した大物がいる。人的補償を要するA、Bランクでは岸孝之(西武)、山口俊(DeNA)の移籍が有力視され、糸井、陽、岸、山口の移籍先として名前が挙がっているのが巨人、阪神、ソフトバンク、オリックス、楽天の5球団。これらの球団は当然、人的補償を覚悟しなければならない。まず、各球団がプロテクトする28人は誰なのか予想してみたい。

 ちなみに、プロテクト選手の顔触れは移籍が決まったのちも発表されない。プロテクトから外れていることを知った場合の心理的動揺や球団に対する信頼感の喪失が考えられるからだ。それほど人的補償は微妙な問題を多く抱えている。

阪神は秋山、横山、新井、今成らが微妙な立場か。

<阪神のプロテクト予想>

 投手は藤浪晋太郎、能見篤史、岩貞祐太、青柳晃洋、岩崎優、岩田稔、藤川球児、高橋聡文の主戦組と、若手の金田和之、歳内宏明、望月惇志、松田遼馬がプロテクトの有力候補だ。

 微妙なのが秋山拓巳と横山雄哉で、横山の6月以降の失速に対して秋山は9月16日のDeNA戦での今季初勝利が強く印象に残る。DeNAにとっては三浦大輔の24年連続勝利と勝率5割を引き寄せる重要な試合で、その前に立ちはだかったのが秋山。先発して5回3分の2を投げ、失点は初回の1点だけ。被安打3、与四死球0、奪三振7の快投で、首脳陣の期待を来季につなげたと思う。

 野手はシーズン100安打を達成した高山俊、鳥谷敬、福留孝介、北條史也は問題なさそうだ。若手は金本知憲監督が掲げる「超変革!」の象徴的存在、板山祐太郎、植田海、江越大賀、中谷将大、横田慎太郎にキャッチャーの原口文仁、梅野隆太郎、坂本誠志郎、さらに実績のある西岡剛、上本博紀、大和が圏内。

 以上28人から洩れるのは、投手は榎田大樹、横山、野手は新井良太、荒木郁也、伊藤隼太、今成亮太、岡崎太一、陽川尚将らとなった。人的補償を求める球団によって欲しい人材は異なるが、左腕不足のオリックスなら横山は欲しいだろう。

【次ページ】 巨人は杉内や阿部、長野、小林らは安泰だろう。

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