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NBAファイナルを接戦にした超人の力。
カリー、レブロンよりもアービング! 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byAFLO

posted2016/06/16 17:00

NBAファイナルを接戦にした超人の力。カリー、レブロンよりもアービング!<Number Web> photograph by AFLO

アービングの美しいフェイダウェイシュート。ファイナルではレブロンより、カリーよりも目立っている。

調子の読めないレブロン、第6戦は?

 試合の勝敗が動かなくなり、ベンチに下がった時のアービングの表情も良かった。安堵とか、喜びはなく、単に「仕事を終えた」という顔だった。敵地での優勝を阻止したとはいえ、まだ2勝3敗という厳しい事実に変わりはない。プロフェッショナルのたたずまいが、そこにはあった。

 日本時間17日(金曜日)に行われる第6戦は、キャバリアーズが有利なのは動かない。地元の利があり、おそらく、アービングは引き続き超人的な活躍を見せるだろう。

 勝敗のカギを握るのは、超人レブロンの出来。そしてそのレブロンとのいさかいのため、第5戦を出場停止となったウォリアーズのドレイモンド・グリーンのふたりである。

 レブロンは、いまひとつ調子が読めないところがある。集中力を欠いていると、プアなシュートばかりが目立つ。第5戦と同じような精神状態を保てるかどうかが、「超人への鍵」となる。

グリーンの仕事は、レブロン潰しと攻撃の中心。

 ウォリアーズはグリーンが復帰する。

 彼によるレブロンへのハラスメントが行われれば(トラッシュ・トークからフィジカルなコンタクトまで、ありとあらゆる手段が取られるはずだ)、レブロンが第5戦のような活躍が出来るかどうか、定かではない。

 それより私にとって印象的だったのは、グリーンの不在によって「民主化」が機能しなくなっていたことだ。

 ウォリアーズのシュート・シェア、つまり民主化が可能なのは、グリーンのディフェンス面での貢献、そしてガードのような視野、コート・ヴィジョンによって、他のメンバーが円滑にプレー出来ていたからだということが浮き彫りになった。グリーンこそ、民主化の中心人物だったのだ。

【次ページ】 カリーの超人的、いやアーティスト的な活躍が見たい。

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