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巨人の4番ギャレットは「我慢」の男。
外角の変化球を見送る急適応ぶり。

posted2016/04/01 11:50

 
巨人の4番ギャレットは「我慢」の男。外角の変化球を見送る急適応ぶり。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ギャレットは3月30日のDeNA戦で3試合連続のホームランを放った。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 外国人選手が日本で成功するためのカギは何か?

 昨年、拙著『1985 猛虎がひとつになった年』(文藝春秋)の取材で、阪神日本一の立役者で伝説の助っ人と言われたランディ・バース氏と会った。

「それはペイシェンス(我慢)だね」

 その質問へのバースの答えである。

「日本の野球はピッチャーの攻め方からストライクゾーン、球場まで、メジャーのベースボールとはまったくの別物だ。ただ、そこで成功しようと思うならその違いを受け入れて、チームメイトと家族のようになることだね。自分が適応していくことが大切なんだ。難しいことは一杯あるかもしれないけど、それに耐えるペイシェンスが大切なんだよ」

 バース氏の時代に比べると、ここ10年ほどは日米の野球が非常に近づいてきたこともあり、外国人選手が日本で成功する確率は格段に高くなっている。

 ただ、その一方で確かに我慢の出来ない選手、ペイシェンスのない選手は成功できない。このことは昨年の巨人のホアン・フランシスコ内野手の失敗が、よく物語っている点でもあった。

 だから昨オフに元ヤンキースのギャレット・ジョーンズ外野手を獲得したときに、技術的な部分はもちろんだが、もう一つ、巨人が重要なポイントとして重視したのが性格面だったというのもうなずける話である。

使う側も我慢の準備はできていたが。

 オープン戦の終盤に、ある巨人関係者のこんなギャレット評を聞いた。

「日本で成功するかどうかはまだ分からないですけど、真面目で性格がいいのが一番です。オープン戦でも毎日出場することを厭わないで、日本の野球を吸収しようとするところを見せている。熱心に練習もする。そういう姿を見ているから、開幕してしばらく打てなくても、おそらく(高橋)監督は我慢して使うんじゃないですか。そういう我慢をしてもいいと思わせる選手ですね」

 フランシスコとは大違いである。

 練習でも打席でも、ギャレット自身が我慢できるから、そういう姿を見て使う方もまた我慢できるということだったが、シーズンが始まると我慢する間もなくこの助っ人は完璧なスタートを切ってみせた。

【次ページ】 ジョーンズへの決め球は外の変化球。

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