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大阪桐蔭と履正社、“決戦”の裏側。
「大阪の頂点にはペガサスがいる」 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/07/21 16:30

大阪桐蔭と履正社、“決戦”の裏側。「大阪の頂点にはペガサスがいる」<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

「高校球界で最もプロに近い学校」である大阪桐蔭。激戦区大阪で3年連続夏の甲子園出場は伊達ではない。

過去7年間、4強に進出してきた履正社の「次元」。

 一方の履正社だって負けていない。

 昨夏までの7年間、常に大阪の4強に進出したコンスタントな好成績はなによりチームの基本的な次元の高さを物語る。

 今夏は、強力投手陣で大阪桐蔭に挑んだ。3年生に永谷暢章、溝田悠人の2人の右腕、2年生にこの春以降急上昇の大型左腕・寺島成輝。タイプの異なる3人の快腕・剛腕を西村卓浩外野手、辻井翔真内野手が軸となる打線とバックが援護する。

どちらが“白鵬”で、どちらが“日馬富士”なのか。

 ならば果たして、どんな展開になるのか。

 つまり、どちらが“白鵬”になり、どちらが“日馬富士”にまわるのか。そこに注目していた。

 勝負とは面白いもので、必ずといってよいほど、頭を低くして突っ込んでいく者と、それをぐいと受け止める者に分かれるものだ。

 大阪桐蔭・西谷監督、履正社・岡田監督、どちらの監督さんとも私はお目にかかったことはあるが、その戦法について、人に向かって語れるほど知っているわけではない。

 したがって、ここからは完全な私の“妄想”になる。

 まず、その役回りである。

 最近の実績から普通に考えれば、“白鵬”が大阪桐蔭で、“日馬富士”が履正社という印象であろう。

 しかし、実際の試合の進め方を見ていると、それはもしかしたら逆なのかも……とも考えた。

 私の見る限り、岡田監督の戦術はきわめてオーソドックス。走者が出ればバントで送り、なるべく得点圏に走者を置いて、相手にプレッシャーをかけながら地道に得点を重ねていく。

 対する大阪桐蔭・西谷監督は、まさに変幻自在。例年強打者、好打者をそろえた重量打線を前面に、相手チームを力でねじ伏せるかと思えば、機動力を駆使して相手守備陣を内面からかく乱し、流れをつかんで一気に押し切る。

 私にとっての両監督の試合の進め方は、このようなところである。

 ならば、岡田・履正社が“白鵬”で、西谷・桐蔭が“日馬富士”。実のところは、そうなのか…とも妄想してみたりする。

【次ページ】 試合前には大阪桐蔭の先発が心配されたが……。

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