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ハリルは日本人FWを活かせるのか?
クラブでの役割と違う「真ん中勝負」。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byAsami Enomoto

posted2015/07/03 10:40

ハリルは日本人FWを活かせるのか?クラブでの役割と違う「真ん中勝負」。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

武器だったポストプレーに加え、サイドで起点になる動きにも磨きがかかっている大迫勇也。

「フォワードが評価されるのは点を獲れるかどうかだ」

 大迫は少し表情を崩しながら、4月にデュッセルドルフで監督と面談した時の様子についてこう語っていた。

「監督からは『フォワードが評価されるのは点を獲れるかどうかだ』と強く言われました。『評価されるのはそこだからな』と。それは岡さん(岡崎)にも言っていましたけど。監督はメッチャはっきり言うから(笑)。まぁ、そっちの方が分かりやすくていいですね」

 多くの先輩からのアドバイスを栄養にかえて成長を続けてきた岡崎も、こんなことを話している。

「監督からは、僕が考えていたこととはちょっと違うことを求められていて。でも、それは自分にとっては大事な部分。点を獲るためには本当に必要なことなので」

 もちろん、シンガポール戦で最後までゴールを決められなかったのには、いくつもの原因がある。しかし日本でも、もっとフォワードの選手たちに厳しい視線を投げかけ、厳しい批判をなげかける雰囲気があってもいいのではないだろうか。

 岡崎はかつて、こう語っていた。

「(香川)真司は点をとれなくても、いろんなところでチームの起点になれる力があるんです。点をとらなかったときには、オレの方を叩いて欲しいんです」

 大迫も、シンガポールとの試合を終えた直後にこう話していた。

「時間が短いとかは関係ないよ。結果を出さないとダメ。チャンスはあったんだから」

 彼らは、批判も真っ向から受け入れられる覚悟と度量と、フォワードらしい潔さを兼ね備えている。

無得点に厳しい評価を! そして得点にもっと評価を!

 ブラジルW杯、オーストラリアでのアジアカップ、と不甲斐ない戦いを続けてきたからこそ、日本サッカーは襟を正して変わろうとしている。謙虚に自分たちの置かれた立場を認めて、そこから世界を驚かせようとしている。

 こんな機会は滅多にない。ならば、日本代表のサッカーを見る側にいる我々も、変わってもいい頃ではないだろうか。

 ゴールを決めてはじめて、試合に勝てる。ゴールにもっとも近いポジションにいて、ゴールがとれなかったときに最も重い責任を問われるのがフォワードなのだ。ゴールを決められなければ、彼らに対してもっと厳しい目で、厳しく評価するべきだ。そして、彼らが得点でチームに歓喜をもたらしてくれるのであれば、それをもっともっと評価すべきだ。

 W杯からの1年間、日本代表は低空飛行を続けている。だからこそ、大きく変わるための恰好のこのチャンスを、逃してはいけないのだ。

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