箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
京大・平井、東工大・松井。
関西勢と伏兵で考える箱根駅伝。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byNanae Suzuki
posted2014/12/08 10:30
全日本大学駅伝1区で好走を見せた京大・平井健太郎。
神奈川大と山梨学院大という「2強」に次ぐ成績。
この大会の京都産業大学は、主将・荒川の快走を受けて2区・細川道隆、3区・国井利文、4区・片岡繁貴、5区・山本敏之まで、神奈川大と首位争いを展開する大健闘だった。4位の早大には、この年の全日本インカレ、ハーフマラソン2位の荒川誠、1万m優勝の小林雅幸がいた。しかし京都産業大には、全日本インカレの5000mや1万m、ハーフマラソンで、8位入賞の実績を持つ選手は1人もいなかった。それでも8人全員のコンディショニングが万全であれば、駅伝では戦えることを実証したレースだったと言える。
1997年1月の箱根駅伝も優勝は神奈川大で2位が山梨学院大と、上位2校は全日本大学駅伝と同じだった。この2チームの実力はやや抜けており、2位の山梨学院大は、3位の大東文化大(全日本大学駅伝は不出場)に1分29秒の差をつけていた。
晴れ舞台を走るチャンスは、広く開かれている。
だが京都産業大に、三番手を争う力があったことは間違いないと思う。というのも、箱根駅伝で4位になった中央大に対して全日本大学駅伝では3分07秒も先着しているし、5位になった早稲田大よりも39秒上回っているのである。箱根駅伝は、全日本大学駅伝の約2倍の距離(217.1km)全10区間だから、10人で走るとなると、選手層の厚い早大、中大といった伝統ある強豪校が、京都産業大より優位に立つ可能性は高い。それでも全日本大学駅伝で4位の中央大に大差で圧勝している点を考えると、10人で勝負したとしても、3位は争うことができたと思われる。
箱根駅伝の主役は、やはり実績ある高校生が集まった強豪校かも知れない。だが、今年も関東学生連合チームには、史上初めて、理科系の国立大である東京工業大の松井将器が選出されている。高校時代にこれといった実績のない選手にも、晴れ舞台を走るチャンスはある。優勝争いだけでなく、そのような大学入学後に大きく成長した選手たちがどこまでやれるかにも、注目して観戦したい。