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信じ続けた自分の可能性。岩出玲亜は東京の星となるか。
~初マラソンで3位、強気の19歳~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKYODO

posted2014/12/06 10:30

信じ続けた自分の可能性。岩出玲亜は東京の星となるか。~初マラソンで3位、強気の19歳~<Number Web> photograph by KYODO

 11月16日、横浜国際女子マラソンが行なわれた。最後の100mにまでもつれこんだ一騎打ちを制して優勝した田中智美(第一生命)の走りは見ごたえがあったが、さらに強い印象を残したのが3位に入った19歳の岩出玲亜(ノーリツ)だった。タイムは2時間27分21秒、1997年に市橋有里が出した2時間29分50秒の10代日本女子最高記録を17年ぶりに更新した。

 今大会は岩出にとって初マラソンだったが、実は練習でも30kmまでしか走ったことがなく、初めての42.195kmだった。近年はトラックや駅伝で経験を積んでからマラソンに挑む選手がほとんどであることを考えても、異例の挑戦だと言える。しかも、5km過ぎからペースメーカーの配分ミスで急激にペースが上がるなど対応しにくい展開を経ての成績だけに、なおさらインパクトは強い。

「走ってみて、もっと記録が出ると思えたし……」

 駅伝の全国大会などの出場経験はあったがインターハイの出場経験はなく、高校時代、決して際立ったランナーであったわけではない。なのに飛躍を遂げることができた理由は、勝ち気な性格と自分を信じる強さにある。大会を前に岩出は抱負を語った。

「歴史に新たな1ページを刻みたいです」

 経験を考えれば強気にも思える言葉が象徴的だ。マラソンに出場したのも所属するノーリツの森岡芳彦監督を説得してのことだった。「人がやっていないことをやりたいから」、そんな言葉もまた、岩出らしさを表している。また、19歳であることを考えれば2020年の東京五輪を目標に据えても不思議はないが「2年後のリオデジャネイロ五輪出場を、本気で目指して練習してきた」と言う。これまで活躍してきた数々のトップアスリートには「自身の可能性を信じきる」強さが備わっていた。岩出もまた、その強さを持ち合わせているからこその、鮮烈なマラソンデビューでもあった。

「走ってみて、もっと記録が出ると思えたし、世界が近くなりました」

 レースの後、笑顔で語った岩出にとって、これからも自分の可能性を信じきれるかどうかが、ポイントになる。

 横浜国際女子マラソンは、今年で終了となる。低迷が続く日本女子にあって、待望してきた若手の台頭とともに幕を閉じた。

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