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大谷翔平とダルビッシュは全く違う。
投球の不安定さが意味する「可能性」。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/09/27 10:50

大谷翔平とダルビッシュは全く違う。投球の不安定さが意味する「可能性」。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

キャッチボールでも、球種を変えながらフォームを気にしつつ調整をする大谷翔平。この細心さが、怪物にさらなる伸びしろをもたらすだろう。

 大ざっぱな言い方になるが、大谷翔平は身体能力で、ダルビッシュ有は技術で、それぞれ2年目にして10勝の壁を破ったと言えそうだ。

 日本ハムの大谷翔平の勝利数は、現在「11」。あと1つ積み上げれば、同じユニフォームを着て、同じく2年目に、12勝を挙げたダルビッシュ有(レンジャーズ)の勝利数に並ぶことになる。

 だが、日本ハムのトレーニングコーチ・中垣征一郎は「ダルビッシュと大谷が似ているのは背が高いことぐらいだ」と話す。

「バネは間違いなく大谷の方がある。ただ去年までは、ぶよーんという使い方しかできなかった。でも今年は、固いバネの使い方を体に教え込んだお陰で、短時間で大きい力を発揮できるようになった」

 それまでチーム一の速球派といえば、MAX155kmを誇るリリーフの増井浩俊だった。だが、その増井でさえ、大谷の能力にこう舌を巻いていた。

「体もでかいし、力も強い。僕もこれまではストレートにこだわりがあったんですけど、大谷を見て無理だなと思いましたね。それぐらいすごい。僕は、さすがに160までは出ないと思いましたから」

ジョーダンとも通じる「調整力」。

 それに対し、中垣曰く、ダルビッシュの最大の特徴は「調整力」だという。

「ダルビッシュは身長の割には腕も短いし、手も小さい。特別に足が速いわけでも、バネがあるわけでも、筋力が強いわけでもなかった。ただ、運動学の世界で言うところの『調整力』がずば抜けていた。

 たとえばNBAのスーパスター、マイケル・ジョーダンもそうですよね。ジョーダンがどんなに体勢を崩してもシュートを打てるように、ダルビッシュも投げる瞬間に足を滑らせてもそれを瞬時に修正する能力が備わっていた」

 ダルビッシュといえば、今でも語り草になっているのは、2009年、巨人との間で行なわれた日本シリーズ第2戦で、左臀部を痛め、かつ右手人差し指を骨折しながらも先発し、チームを勝利に導いたときの投球だ。

【次ページ】 神経質なぐらい大谷が気にする、投球フォーム。

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