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ヤクルトの“マサ”石川雅規の粘投主義。
~小さな左腕、10度目の2ケタ勝利~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/09/28 10:30

ヤクルトの“マサ”石川雅規の粘投主義。~小さな左腕、10度目の2ケタ勝利~<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

身長167cmでの偉業達成。小川淳司監督も「彼の体からすると素晴らしい」と称賛した。

 つるべ打ちを喰らった。立ち上がりから5連打を浴び、あっという間に3点を失ったのは、スワローズの石川雅規だ。8月28日、広島で行われたカープとの一戦。「ヨーイドンで3点取られて、どうなるかと思った」という石川だったが、終わってみれば、9回途中までをこの3点のみに抑えてみせた。2回以降は被安打3、無四球、無失点と見事にピッチングを立て直し、今シーズンの10勝目を挙げている。石川が言った。

「あの試合の審判がアウトコースを取ってくれていたんです。だったら、そこへ投げればカウントも稼げるし、ファウルも取れる。これは何とかなるんじゃないかと思って、その後は頑張ってアウトコースへ投げ続けました(笑)」

 2ケタ勝利に到達した時点で、石川は規定投球回数に達しているピッチャーの中で、誰よりもヒットを打たれ、誰よりも点を取られていた。それでも白星を手繰り寄せることができるのはなぜなのか。彼は苦笑いを浮かべてこう続けた。

「僕のピッチングって、いい当たりじゃないヒットとか、間を抜けちゃうヒットは、ゲッツーと紙一重だったりするんです。だからヒットを打たれても、点を取られても、あれはしょうがなかったと割り切るようにしています」

ロッカーには山本昌と自分の年度別成績を貼っている。

 この日の10勝目は、自身10度目の2ケタ勝利となった。プロ野球全体で見れば28人目の記録ではあるが、'90年代以降に達成した7人(石川の他には工藤公康、山本昌、村田兆治、西口文也、星野伸之、桑田真澄)の中で、13年目で到達したのは星野と石川だけ。現役で10度の2ケタ勝利を記録しているのは山本昌、西口、石川の3人だけだ。

「昌さんの(最年長勝利の)試合はテレビで見てました。凄いですよね。見倣うべきことがたくさんあります。両コーナーや緩急の使い方、バットの芯を外せばピッチャーは勝てるんだなということを改めて思い出させてもらいました」

 同じ“マサ”として、憧れの存在に一歩でも近づけるよう、かつては志願してともに自主トレを行い、今でもロッカーには山本昌と自分の年度別成績を並べて貼っている。石川が目指すのは、息長く勝ち続ける山本昌のようなピッチャーだ。

「だから正直、10度目の2ケタより3年ぶりの2ケタの方が嬉しいんです」

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