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巨人・アンダーソン「不細工」の魅力。
“リズム感のないラテン系”に迫る。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/05/02 10:50
4月30日終了時点で、打率.378の首位打者に。ラテン系らしからぬ「不細工さ」は、もはやアンダーソンの魅力のひとつだ。
ドミニカ共和国に代表される中南米出身のラテン系プレーヤーには、独特のリズムがある。
しなやかだが力強い筋肉に、躍動感溢れる身体の使い方。DeNAベイスターズのトニ・ブランコ内野手のようなパワーヒッターでも、その動きには、ラテンの血脈を感じる瞬間というのがあるものだ。
ところが、である。
この選手ほど“ぶさいく”なラテン系選手は見たことがないかもしれない。
巨人の第79代4番打者となったレスリー・アンダーソン外野手である。
キューバ出身の32歳。キューバ時代はナショナルチームの代表に選ばれるエリートで、キューバリーグでは通算打率3割2分6厘をマークして中距離打者として活躍した。2009年にメキシコに渡るボートに乗って亡命。その後'10年にMLBのタンパベイ・レイズと契約したが、結局、メジャーには上がれず仕舞いだった。
'12年に、松井の同僚としてアンダーソンを見た記憶。
実はマイナーでくすぶっているときに、筆者はアンダーソンのバッティングを見ている。
'12年に引退した松井秀喜氏が最後にレイズと契約。最終調整していた3Aのチームがアンダーソンの所属していたダーラム・ブルズというチームだったのだ。そこでやたらと打ちまくっていたのが、実はアンダーソンだったわけである。
そのときはその選手が後に日本にやってきて、こんな形で“再会”するとは、思ってもいなかった。
ただ、改めてキャンプでアンダーソンを見たときには、頭の中は「?」となって思わず顔をしかめてしまったのである。
ダーラムで打ちまくっていた印象とは違って、ひとことで言ったら“ぶさいく”な選手だったからである。