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250本ペースでも不満顔の内川聖一。
打撃の哲学者が追求する「理想像」。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNanae Suzuki

posted2014/04/28 12:00

250本ペースでも不満顔の内川聖一。打撃の哲学者が追求する「理想像」。 <Number Web> photograph by Nanae Suzuki

月間安打記録にも挑戦している内川聖一。日本を代表するヒットメーカーの技術は、細部までこだわりが詰まっている。

 同じマルチ安打でも、内川聖一の場合、試合によって周囲に与える印象がまるで違う。

 最近の試合を挙げれば、4月16日の楽天戦。これは、誰もが嘆息を漏らすほどの「ヒットショー」だった。

 対戦を熱望していたゴールデンルーキーの松井裕樹から3打席連続安打を放ち、格の違いをはっきりと示した。

「超一流のルーキーに『対戦したい』と言ってもらえるのって、やっぱり嬉しいじゃないですか。だからこそ松井君には、いつまでも『勝負したい』と言ってもらいたいし、僕も『力をつけてまた勝負しようぜ』って激励できるだけの結果を残したいなって思うわけですよ」

 この言葉を聞けば、誰だって「さすが内川」と称賛するだろう。

 一方で、27日の西武戦でのマルチ安打のインパクトはそれほど強くはなかった。

打てなくても勝てればマイナスの感情も半減する。

 6打数2安打とまずまずの結果を残したものの、ソフトバンク打線が20安打、14得点と大爆発したこともあってか、むしろ、物足りなさすら感じる内容だった。

 それでも内川は、自分が納得できない結果に終わったとしても、割り切ることができるという。

「勝つことで救われる感じですかね。自分が打てなくてチームも負けたらマイナス(の感情になる)というのはみんな一緒でしょうけど、打てなくても勝てればそれも半減するというか、あんまり負担にならないというのはありますよね」

 ただ、内川は史上2人目となる両リーグでの首位打者を2011年に獲得し、目下6年連続で打率3割をマークする、日本球界では誰もが認めるナンバーワンヒットメーカー。ファンは、そんな中間色な答えなど聞きたくはないのではないか。

 内川ならいつだって、どんな球であっても安打を放つ――。まるで、スランプとは無縁であるかのように神格化すらしたいのでは。だからこそ、もっと自信に満ちたコメントが欲しいと願う。

 そんな一方通行な想いに対し、内川は「マジっすか!」と快活に笑いながらもやんわりと否定した。

【次ページ】 試合なんか「楽しめるわけねぇだろ!」と思うんです。

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