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石川遼が“プロデューサー”に?
世界基準の難易度とホスピタリティを。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byKYODO

posted2013/11/21 10:30

石川遼が“プロデューサー”に?世界基準の難易度とホスピタリティを。<Number Web> photograph by KYODO

米ツアーシード権も危ぶまれたが、2年目を迎え、復調の兆しが見える石川。三井住友VISA太平洋マスターズでは、首位に1打差と迫り、おしくも優勝は逃したが、集まったギャラリーを沸かせた。

シビアなセッティングに苦しんだ、石川の「後輩」。

 このセッティングの罠に、まんまとハマってしまったのが石川の母校、杉並学院高に在籍する高校生プロ・18歳の伊藤誠道だった。

 昨年末にプロ転向した伊藤は今季、この下部ツアーを主戦場とした。シーズン2勝目を狙った同大会では2日目を終え単独首位に。しかし最終日は前半のうちに後退。通常パー5をパー4に設定した8番ホールで、第2打を池に落としてダブルボギー。結局7位タイで敗れ「最終日は先輩のピンにやられました」と、こぼしたのである。

 本来、チャレンジトーナメントのセッティングの難易度は、レギュラーツアーとは大きな差がある。グリーンは軟らかく、カップを切る位置もやはりグリーンの中央付近が多い。だが石川は、それをよしとしなかった。

「チャレンジでピンが(グリーンの)端から3ヤードのホールなんて、今まで無かった」 と伊藤。彼も“天才少年”と呼ばれ、中学生時代からレギュラーツアーへの出場経験がある。だからこそ、

「頭が良いマネジメントをしないといけなかった。終わって成績表を見返したら、最終日にスコアを伸ばした選手って、元シード選手とか、チャレンジでもいつも上位で戦っている選手が多かったんです」

 と改めて自分の実力を思い知らされたのである。

レギュラーツアーで戦うための難易度を。

 だが伊藤は「いや、負けたけど面白いトーナメントで、やりがいがあった」と石川の考えに感銘を受けた。このコースがただの1試合に留まらず、今後レベルの高い試合で戦うための難易度に仕上がっていたからである。「だって、僕たちはチャレンジで成績が良くても、上(レギュラーツアー)で頑張れなきゃ意味がないですもん」。

 そして石川がこの2軍戦と、レギュラーツアーとの間にあるレベルの“差”を詰めようとしたのは、そのセッティングの難易度だけではない。訴えたかったのは選手を取り巻く環境面の改善だ。

【次ページ】 ローピングに水、石川プロデューサーの異例の取組とは。

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