日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
代表復帰の大迫が語っていた「夢」。
万能の裏に隠し持つ“賭ける”力とは。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/09 08:01
代表に選出される数日前、インタビューに答える大迫。代表、そしてW杯への想いを隠すことは全くなかった。
若いプレイヤーのなかには日本代表を経験することで、成長サイクルを一段と加速させる者がいる。
鹿島アントラーズのエースに君臨する大迫勇也も、間違いなくその一人だ。
23歳、5年目の今季はひと味もふた味も違う。
元来、視野が広くてチャンスメイクも器用にこなす万能ストライカーだが、今季は何よりもゴール前で勝負強さを発揮できるようになっている。
実は大迫は、若手中心で臨んだ2010年1月のイエメン戦でA代表に初招集されている(出場機会なし)。さらに昨年4月に行なわれた代表候補合宿に呼ばれてもいるが、実質的に本当の意味での初代表となったのが、7月の東アジアカップだと言えるだろう。
その東アジアカップでは、オーストラリア戦で2ゴールを挙げ、9月のグアテマラ、ガーナ戦でも招集されると2試合とも出場を果たした。翌月のセルビア、ベラルーシ遠征は代表メンバーから外れたものの、9月に再招集された際は本田圭佑、香川真司ら欧州組と一緒にトレーニングを積んで、同じピッチにも立った。
そして東アジアカップから帰国して以降、大迫の成長サイクルはさらなる“確変”を迎えている。
13試合10得点(第30節終了時点)というハイペースで自身初となる2ケタ得点をあっさりと達成し、得点ランキングも3位(17ゴール)まで上昇しているのだ。
一体、何が彼を変貌させ、飛躍に向かわせているのか。その背景にあるものとは――。
欧州遠征の代表発表前、大迫に話を聞く機会があった。
薩摩隼人らしく、決して口数が多いタイプではない。
柔らかい雰囲気を醸し出しながらも、一点を見つめる切れ長の鋭い目は意志の強さを感じさせる。プレー同様、「柔」を見せておきながら、内にある「剛」がのぞく。