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10年後にしか分からないことがある。
'03年ドラフトの成否を、今振り返る。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/11/08 10:30

10年後にしか分からないことがある。'03年ドラフトの成否を、今振り返る。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

糸井嘉男は、投手として指名され、打者として大成した珍しいパターン。現在はオリックスの主砲に成長。

 2003年のドラフトからちょうど10年がたち、当時の指名選手の「成功・不成功」がとりあえず明らかになった。以下、成功選手の顔ぶれを見ていこう。

[註]成功選手の目安は、打者は通算500安打、投手は通算50勝、300試合登板(1セーブは0.5勝)

2003年ドラフトの成功選手。

日本ハム ……自由枠・糸井嘉男(投手→外野手・オリックス移籍)、
                     4巡・押本健彦(投手・ヤクルト移籍)
ヤクルト……4巡・青木宣親(外野手・ブルワーズ移籍)
ロッテ………1巡・内竜也(投手)、6巡・成瀬善久(投手)
巨人…………自由枠・内海哲也(投手)、2巡・西村健太朗(投手)
近鉄…………自由枠・香月良太(投手・巨人移籍)
西武…………7巡・G.G.佐藤(捕手・ロッテ移籍)
阪神…………自由枠・鳥谷敬(内野手)
ダイエー……自由枠・馬原孝浩(投手・オリックス移籍)

 3年ぶりに抽選がない無風ドラフトになったのは、それだけ上位候補の高校生に大物感のある選手が少なかったためである。

即戦力との前評判は、成功を約束しなかった。

 ドラフト前に人気だったのは内海(東京ガス)、香月(東芝)、森大輔(三菱ふそう川崎)の社会人投手(ヤマハの左腕・歌藤達夫もオリックスから1位指名されている)。今年のドラフトで吉田一将(JR東日本)、石川歩(東京ガス)など4人の社会人投手が1位指名されているが、それにくらべると'03年の3人は高校時代から知られた存在で、大学を経由していない分、若さがあった。

 即戦力に定評のある社会人で、なおかつ大物感に溢れていた面々として確実視されていたが、成功したのは内海と香月の2人で、香月にしても<316試合登板、15勝10敗71ホールド、防御率3.85>の成績は一級品とは言えない。

 ちなみに、自由枠で入団した大学生投手は糸井(近大・打者に転向したのは'06年)、川島亮(八戸大)、山崎敏(平成国際大)、馬原(九州共立大)、吉川輝昭(日本文理大)、筒井和也(愛知学院大)と6人いて、成功したのは馬原1人だけ。即戦力の鳴り物入りで入団しても、リスクを伴うという当たり前のことを、彼らの10年間は如実に物語っている。

【次ページ】 ドラフトの成果が現れるまでの時間は短縮されている?

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