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このまま昇格して大丈夫!?
首位陥落のガンバを覆う“J2の空気”。  

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO

posted2013/10/01 12:40

このまま昇格して大丈夫!?首位陥落のガンバを覆う“J2の空気”。 <Number Web> photograph by Kenzaburo Matsuoka/AFLO

現在のガンバで数少ない「仕掛ける意識」を持つ宇佐美貴史。11試合で9得点と、リーグ最速ペースでゴールを生む男はガンバを甦らせることができるか。

 9月29日の第35節、ガンバ大阪が愛媛FCに0-1で敗れ、4カ月ぶりに首位から陥落した。開幕前に掲げた「勝ち点90」と「J2優勝」というふたつの目標に黄色信号が点った。

 8月末の横浜FC戦から愛媛戦まで1勝2敗2分けと完全に失速状態に陥ったガンバ。9月の勝利は水戸を5-0で破った試合のみ。それまで2敗しかして来なかったのに、9月に入って長崎と愛媛に金星を献上。松本山雅戦では相手が一人足りないにもかかわらず、突き放して勝ち切ることが出来なかった。そこには、かつて相手を畏怖させた強さはほとんど感じられなくなっていた……。

 遠藤保仁は「悲観する必要はない」というが、なんとなくJ2の空気に染まりつつある感があり、このままで来季は大丈夫なのかという不安に駆られるばかりだ。

 気になったのは、攻撃があまりにも単調で淡泊なところ。

 ガンバの良さは分厚い攻撃にある。人をかけ、運動量で相手を上回り、波に乗れば水戸戦のように5点を取れるチームなのである。だが、ここ最近は相手の戦術にハマると、それを越えるだけの工夫も力もなく、ただ淡々と90分が過ぎていってしまっている感がある。

なかなか治らない、ガンバの病気とは?

 愛媛戦では足元へのパスばかりが目立った。動きが少なく、裏を狙ったり、ドリブルで仕掛けたりすることもなく、ただ相手の前できれいにボールを回しているだけ。しかも相手が中盤でプレッシャーをかけてくると、ボールを横に出したり、簡単にバックパスをしてしまう。すると相手の陣型は元に戻ってしまい、簡単に崩せなくなる。

 プレスが厳しくても前を向いてプレーするとか、無理な態勢からでもスルーパスを出して打開しようとか、そういう積極的な姿勢があまり感じられないのだ。

 中盤の雰囲気は当然、前線にも影響する。ロチャは「パスで繋いで行くのだろう」と最初から思っているのか、遠藤や今野泰幸がボールを持っても動き出す気配がまったくない。

 とにかく全体的に動きが少ないのだ。

 立ち上がりでの失点や、先制点を相手に取られるケースが多く、それがチームに深刻な影響を与えている。

 長谷川健太監督も当然そのことを意識しており、「立ち上がり、しっかり入ろう」と常々注意しているのだが、その病気がなかなか治らない。

 選手自身も「なぜなのか、分からない」と戸惑いを見せるようになっている。

 慎重に試合に入ろうとするあまり、堅い試合運びになっているのだ。結局、試合を通して消極的な戦い方に終始することになってしまっている。

【次ページ】 昇格確実の気の緩みが……いらぬ敗北を呼ぶ。

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