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3年ぶりの四大大会出場。
奈良くるみの着実な歩み。
~故障、停滞を乗り越えた全米OP~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2013/09/07 08:00

3年ぶりの四大大会出場。奈良くるみの着実な歩み。~故障、停滞を乗り越えた全米OP~<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

予選を突破した奈良。7月にポートランドで行なわれた下部大会では優勝を果たしている。

 歯車が元に戻るのに3年かかった。奈良くるみは8月末に開幕した全米で予選を突破、2010年ウィンブルドン以来3年ぶりに四大大会本戦の舞台に立った。「3年と言われると、そんなに長かったかなと」。奈良は、実感がないという表情を見せた。どれだけもがいたのか、本戦開幕直前の囲み取材で根掘り葉掘り聞こうとは思わなかったが、決してくさらず、鍛錬を重ねてきたことは今の彼女の姿から容易に想像できる。

 '09年、17歳で全日本選手権初優勝。翌'10年には全仏で予選を突破し、四大大会初出場を果たす。さらにウィンブルドンで四大大会初勝利と日の出の勢いだった。しかし、その夏、全米の前哨戦で左足首をねんざ。ここから突如、空転し始める。

 故障が直接影響したというより、固まりつつあった自身のスタイルが故障で再び揺らぎ始めたのだろう。'10年8月に自己最高の101位に到達した世界ランキングは'11年末に144位、翌'12年末には157位と停滞した。「どうなっちゃうんだろう?」。先の見えない日々だった。

「毎日、コツコツ、前向きにやれたことが今につながった」

 急上昇した時期に彼女の口から「今のランキングは実力に見合っていない」という言葉を聞いた。持ち前の勝負強さで勝ち取ったランキングだったが、自己採点との誤差に、据わりの悪さも感じていたようだ。急上昇して見える景色が変わると自分を見失う選手は少なくない。そして、一度落ちると再浮上はどの選手にも難しい。しかし、急上昇にも浮かれなかった奈良は、突然の失速にも動じることなく地に足を着けて戦った。

「毎日、コツコツ、前向きにやれたことが今につながったと思います」

 技術的な課題を丁寧な練習で克服し、体もしっかり作った。体幹と下半身を鍛え「私服はどれもピチピチ」になってしまったが、おかげでコートでの動きもフォームもダイナミックになった。

「ほかの選手よりパワーもボールのスピードもないので、フットワークと頭を使うことで戦っていかなくてはいけない」

 その神髄を自分のものにするには、もともと3年の月日が必要だったのかもしれない。最新ランキングは109位。自己最高には届かないが、今度こそ実力通りと胸を張れるランキングだろう。今の奈良は間違いなく、101位だった頃の奈良より強い。

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