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トップ10が近づいた錦織は、
全米で足場を築けるか。
~今季最後の四大大会に挑む~ 

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2013/08/22 06:01

最大の武器であるフォアが不調に終わったウィンブルドンの錦織。

最大の武器であるフォアが不調に終わったウィンブルドンの錦織。

 ウィンブルドンの第2週、本来ならそこにいるべき二人の主役、ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルはすでに大会を去っていた。フェデラーは2回戦敗退。全仏で古傷のある左ひざを酷使したナダルは芝に向けた調整がままならず1回戦で姿を消した。たまたま、とも言いきれないだろう。フェデラーは体の切れの衰えが目立ち、ひざに爆弾を抱えたナダルは、フルにシーズンを戦える状態ではない。BIG4が君臨する男子テニスの勢力図は微妙に変動し、ノバク・ジョコビッチとアンディ・マリーの2強時代が近いと見る向きもある。

 その中で今季最後の四大大会、全米が幕を開ける。優勝レースの先頭を走るのは昨年も決勝で死闘を演じた「2強」だが、ナダルとフェデラーも意地を見せてくれると信じたい。

 ナダルはカナダ・モントリオールの前哨戦で優勝。準決勝ではジョコビッチを下した。「ノバクに勝つには攻撃的にいくしかない」と終始、火の矢を放ち続けた。ハードコートの全米を制する鍵は、この攻撃的な姿勢を貫けるか否かだろう。

 フェデラーはウィンブルドンの直後、不振を脱する手がかりは実戦でつかむとばかりに急遽、クレーの2大会に出場した。ところが、ともに下位選手に敗れ、腰痛のハンディも背負い込んだ。モントリオールは欠場。「体調は戻ったし、モチベーションもある」とシンシナティで復帰したが、手探り状態のまま全米を迎えることになりそうだ。

錦織は「トップ10の地位を確立することが目標」といたって冷静。

 錦織圭の世界ランク・トップ10入りも一つの焦点となる。8月12日付けランキングは12位。9位のスタニスラス・ワウリンカ、10位のミロシュ・ラオニッチはこの先、失効するポイントが多く、錦織が全米で上位に進出すれば、彼らをかわして10位以内に入る可能性もある。

 だが、本人はいたって冷静だ。ウィンブルドンで錦織は「(トップ10に)1回入るだけでは意味がない。何年かのうちにその地位を確立することが目標」と話した。

 ポイントの増減でたまたま10位になっても意味がないと、彼は分かっている。自身の経歴においては勲章となり、日本テニス界でも歴史的な業績となるだろう。しかし彼は新聞の見出しになるために骨身を削るのではない。例えば8位なら四大大会で第8シードとなり、準々決勝まで上位と対戦しない利点もあるが、10位は今の錦織に何の実利ももたらさないだろう。

<次ページへ続く>

【次ページ】 フォアが湿りがちの中、ライバルを「のみ込める」か?

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