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野生児テベスが“貴婦人”に電撃加入。
ユーべ10番の重責と大胆4トップ構想。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/07/02 10:30

野生児テベスが“貴婦人”に電撃加入。ユーべ10番の重責と大胆4トップ構想。<Number Web> photograph by AFLO

「セリエAでプレーするのが夢だった」と語るテベス。得点王よりもチームの勝利を優先すると明言した。

 移籍市場の本格解禁を前に、FWカルロス・テベスがユベントスへ電撃加入した。待望の大物ストライカー獲得によって、“貴婦人”は来る新シーズンにセリエA3連覇とCL上位進出を狙う。

 ただし、昨年夏の前主将デル・ピエーロ退団以来、空き番とされていた背番号10が、テベスに与えられたことが波紋を呼んでいる。“ユーベの10番”を背負う意味は、決して軽くない。

 テベスの実績は圧巻だ。2004年の得点王に輝いたアテネ五輪は、アルゼンチンの金メダル獲得に貢献し、'06年の渡欧後もCLやプレミアリーグ優勝、FAカップなどメジャータイトルを総なめにしてきた。クラブW杯もボカ・ジュニオール時代とマンチェスター・U時代に2度制覇している。

 FWとしての能力も疑いようがない。173cmと小兵ながら筋骨隆々、類い稀なドリブル技術と距離を問わないシュートの切れは鋭い。無骨なれど得点感覚に優れ、センターフォワードから右サイドウイングまであらゆる攻撃オプションに対応できる。

「自分の経験とプレーをこのチームで活かしたい」と意気込むテベスのワイルドなプレースタイルは、チーム内に必ずや刺激をもたらすだろう。再びの欧州制覇を悲願とするユベントスにとって、テベスは戦術的ブレイクスルーの引き金になる存在だ。

超大胆な4トップ構想を具現化する“ユーベの10番”。

 昨季のCLでバイエルンに完敗した後、戦術研究家でもある指揮官コンテは、より攻撃的なスタイルで臨む決意を固めた。対CL用に大胆なチーム改造プランを温める彼の頭にあるのは、超大胆な4トップ構想だ。

 テベスとコンビを組ませるのは、A・ビルバオから獲得した195cmのFWジョレンテ。新加入の凸凹コンビが攻撃の中心となる来季のユーベは、まったく未知のチームへと進化する。

 ただし、別チームとなっても“ユーベの10番”の価値は不変だ。

 '60年代の名FWシボリや'70年代のカペッロ(現ロシア代表監督)が築いてきた“ヌーメロ・ディエチ(=10番)”のイメージは、'80年代のプラティニ(現UEFA会長)の活躍によって、欧州サッカーの花形としての価値を決定的にした。

 “ユーベの10番=華麗なファンタジスタ”の完璧な後継者だったバッジョは、1993年にバロンドールを受賞。ユーベ在籍5年で115ゴールを挙げ、イタリアの少年たちのヒーローになった。

 また、多くの指導者に仕えながら数々のタイトルを勝ち取ったデル・ピエーロは、昨年の夏に新天地オーストラリアへ去るまで、19年にわたって10番のイメージを守り続けた。

【次ページ】 品行方正からはほど遠いテベスの10番には賛否両論。

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