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ヨルダンで苦杯喫したザックジャパン。
攻守に見えた“アンマンの教訓”とは?  

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/03/27 12:30

ヨルダンで苦杯喫したザックジャパン。攻守に見えた“アンマンの教訓”とは? <Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合後、「僕らがもっと点を取っていれば勝てた試合だった。それに尽きます」とコメントした香川。2失点の守備陣を責めるべきか、1得点の攻撃陣を責めるべきか……。

 太鼓が打ち鳴らされ、スタンドは「JORDAN! JORDAN!」の大合唱。

 グループBの首位を快走する日本を2-1で下したのだから、キング・アブドゥラ・インターナショナル・スタジアムが沸騰しないわけがない。

 いくらアウェーとはいえ、アップセットを許してしまったザックジャパンの面々は、ある者は悔しそうに天を仰ぎ、ある者は両手をひざについてうなだれた。

 程なくして視界に飛び込んできたのがアルベルト・ザッケローニ監督の姿。ハーフタイムに“首切りポーズ”で挑発したとされるヨルダンの選手に試合後、顔を真っ赤にして詰め寄っていく光景だった。試合中は熱くなりがちとはいえ、ここまでストレートに感情をむき出しにするのは珍しいこと。礼儀を欠いた相手に対する怒り、敗北の悔しさ、チームに対する不満……様々な思いが交錯して指揮官を興奮させていたのだろうか。

 内容で勝っていたのは日本だった。

 思いのままにならないピッチのなかでザックジャパンの持ち味を見ることはできた。しかしながら勝負には負けた。

 いくら内容が良かろうとも、負けては何の意味もない。それがW杯予選なのだと、このアンマンの地であらためて強く気づかされる思いがした。

 W杯予選をなめるんじゃない、アジアをなめるんじゃない――。

 ヨルダンの勝利に沸く人々の叫び声が、そう言っているようにも聞こえた。

内容は良かったが「チャンスで決められなかった、ということだ」。

「今日のような内容でアウェーのわれわれが10回チャンスを作り、相手が3回チャンスを作るという戦いであれば、われわれが当然勝たなければならない試合だった。今日のようにアウェーのチームが8、9、10回とチャンスをつくるのは稀だと思う。

 突くポイントをしっかりと意識してサイドから中央からと、(良くない)ピッチコンディションのなかでも(日本の選手たちは)コンビネーションを発揮してくれた。だが……自分たちのチャンスで決められなかった、ということだ」

 試合後の会見、ザッケローニは何度も好機をつくったチームを評価しながらも、「最後の精度」には不満の色を浮かべた。

 攻撃面の狙いは明らかだった。

 指揮官は1トップに前田遼一を置き、2列目のトップ下に香川真司、左に清武弘嗣、右に岡崎慎司を配した。通常なら清武が右のはずだが、ボールを持てば“喰らいついてくる”という敵の右サイドバックの特徴も踏まえたうえでの並びだった。

【次ページ】 前半は苦しみながらも日本のペースで試合は運んでいた。

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