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ヨルダン戦で得た、手ごたえと悔しさ。
代表最年少、酒井高徳の長い1日。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/03/29 10:32

ヨルダン戦で得た、手ごたえと悔しさ。代表最年少、酒井高徳の長い1日。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合前、現代表で最年少の酒井は最年長、最多出場の遠藤と肩を組んだ。2歳年上の香川はマンUというビッグクラブでプレーし、代表でも確固たる地位を築いている。酒井はこれからどこまで成長できるだろうか。

 ベッドから起きあがり、再びベッドに入るまでを1日とするなら、それは長い、長い1日になった。

 3月26日、アンマンで行なわれたヨルダン戦に左サイドバックとして先発した酒井高徳は、試合後にホテルに戻ると、すぐにアンマンにあるクィーンアリア国際空港へ向かった。26時45分発の飛行機でフランクフルトへ飛び、そこからシュツットガルト空港行きの飛行機に乗り継ぐ。そして、ベッドに入ることなく、シュツットガルトのクラブハウスへ。現地の日付で3月27日に行なわれたリカバリーメニューを終え、ようやく自宅へ向かう時刻を迎えた。

 自宅へと戻る前、クラブハウスを出てきた酒井は口を開いた。

「全然、寝てないですよ。(フランクフルト国際空港での)乗り換えの時間も少なかったし。それで、そのままここに来た感じですから」

 眼の下には、うっすらとくまが浮かんでいる。それでも生気は失っていない。口調には力がこもっている。良かったこと、良くなかったこと、それぞれを冷静に見つめている。

 ヨルダン戦について、酒井は語りはじめた。

「サイドバックが起点になるところでボールをとられてしまうと、失点につながったり、チームのために良くないということを改めて感じました。その辺の責任感をもっと持つことと、それからミスをなくすこと。負けたことは本当に悔しいし、(試合が終わってからの24時間あまりの間に)『あの場面がなかったら……』って自分の中で思ったりもしましたよ」

失点に絡んだところ以外は良いプレーができていたのだが……。

『あの場面』というのは、後半15分のシーンだ。左サイドで酒井がボールを失うと、日本はそのままハイルにサイドを破られ、ヨルダンに2点目を許してしまった。

「失点に絡んだところ以外は自信を持ってやれたので、本当に失点のところの重要性だけすごく感じました」

 ブラジルW杯出場に王手をかけていたものの、ヨルダン戦に敗れたことで、出場権獲得は6月4日のオーストラリア戦以降にお預けとなった。酒井が試合後、寝られなかったのは、移動の慌ただしさはもちろん、自らが絡んだ失点のシーンの悔しさがあったのだろう。結果的にあの失点で、日本はヨルダン戦でのW杯出場を決定できなくなってしまった。日本代表に特別な想いを持つ酒井にとって、『あの場面』のプレーは許せないものだったのではないだろうか。

【次ページ】 ドイツ代表入りに関する誤報で激怒していた酒井。

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