川口、楢崎、稲本、俊輔、玉田……。
“ドイツW杯組”が支えたチーム力。

二宮寿朗 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Toshio Ninomiya

photograph by Naoki Nakanishi/JMPA

川口、楢崎、稲本、俊輔、玉田……。“ドイツW杯組”が支えたチーム力。

関連アスリート・チーム:

チーム・選手名
川口 能活
楢崎 正剛
稲本 潤一
中村 俊輔
玉田 圭司

 ロフタス・バースフェルドは涙に濡れた。

 PK戦でパラグアイが5人目まできっちり決めると、ひざをついて祈るように見守っていた岡田ジャパンの面々はその場で崩れ落ちた。遠藤保仁、長友佑都らの目からは涙がこぼれ、岡田武史監督はピッチまで出ていって選手たちと握手を交わした。サブに回った選手たちも駆け寄り、抱擁する姿がピッチの至るところで見られた。

 日本サッカー史上初となるベスト8入りはならなかった。

 しかし本田圭佑を1トップに置く新しい布陣を用いて、より守備的な戦術に切り替えてきた指揮官の“苦肉の策”が功を奏して、グループリーグで2勝を挙げて決勝トーナメントに進むことができた。ゲームキャプテンを務めた長谷部誠は、ここまで勝ち進めた要因として「チームワーク」を挙げた。

「このチームの強みとしてはチームワークがあった。試合に出ている選手だけではなくて、出ていない選手たちのサポートが本当に素晴らしかった。短期決戦におけるチームワークの重要性を感じることができた」

控えのベテランたちは率先して水やタオルを運んだ。

 今回のW杯では経験のある選手がベンチに並んだ。

 W杯4大会連続出場の川口能活、楢崎正剛をはじめ、3大会連続の稲本潤一、そして岡田ジャパンのチームづくりで中心的な役割を果たしてきた中村俊輔がいた。ドイツ大会のブラジル戦でゴールを挙げた玉田圭司も控えているという状況だった。彼らが率先してペットボトルの水やタオルを運び、声を出し、チームの一員として働いていたことが、ピッチに立つ選手たちの大きなモチベーションになったことは言うまでもない。

 指揮官は26日の練習後、「フォア・ザ・チーム」に徹するベテランの選手たちの貢献ぶりを高く評価していた。

「今は年寄りの選手が頑張ってまとめてくれている。川口がみんなとコミュニケーションをとってね、ナラ(楢崎)も川島にいろんなアドバイスをしてくれている。(中村)俊なんかはハーフタイムに相手の特徴を言って、こうしたほうがいいと。俺より的確なんだよね」

 控えに回ったベテランたちは“不満分子”になることなくチームを支えた。彼らの大人の対応が、チームを結束に向かわせたのだった。

<次ページへ続く>

【次ページ】 川口能活が語る“ベンチワーク”の重要性。

筆者プロフィール

二宮寿朗

1972年愛媛県生まれ。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。格闘技、ボクシング、ラグビー、サッカーなどを担当し、数々のスポーツシーンの目撃者となる。'06年に退社し「Number」編集部を経て独立。高円寺の居酒屋でスポーツ談義に花を咲かせることが唯一の趣味。著書には『闘争人~松田直樹物語』(三栄書房)がある。


Numberオリジナルグッズ作成

サッカー日本代表ニュース

サッカー日本代表ニュース一覧へ

761

アスリートの本棚。
読書が彼らを強くする 
9月2日発売 目次を見る
最新号表紙
ナイトランって気持ちいい!!世界最高のサッカーをWOWOWで見る!有名選手のサイン入りグッズが当たる!言わせろナンバー プレゼントキャンペーン

フォトギャラリー

一覧へ
成田・金子の果敢なヘッドスライディング 砂を巻き上げ猛然と3塁を狙う報徳学園の谷
聖光学院の4番・遠藤雅。打席前の豪快な雄叫び 2ランホームランを放った履正社“T-山田“

文藝春秋の新刊紹介

表紙

野球へのラブレター
長嶋 茂雄・著

天覧試合秘話から、松井、イチローとの知られざる絆まで。ミスターのベースボール讃歌

Amazon.co.jpで買う

表紙

中澤佑二 不屈
佐藤 岳・著

劣等生がなぜ日本代表のキャプテンにまでなったか。彼を見続けてきた記者が解き明かす

Amazon.co.jpで買う

表紙

いざ志願! おひとりさま自衛隊
岡田 真理・著

ごくフツーの女性が酔った勢いで応募した予備自衛官補の試験に合格! 驚きと笑いの体験ルポ

Amazon.co.jpで買う

表紙

中村俊輔オリジナルサッカーノート3冊セット

中村俊輔選手が「17歳の頃からずっとこんなノートが欲しかった」という、サッカーノート決定版がついに完成

Amazon.co.jpで買う