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幼き日の夢を実現させた
アーテストとオドムの絆。
~レイカーズV2の立役者たち~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2010/06/27 08:00

幼き日の夢を実現させたアーテストとオドムの絆。~レイカーズV2の立役者たち~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 初めてのNBAファイナルを前に、ロン・アーテスト(LAレイカーズ)は、過去を振り返らず、先のことを考えすぎず、今を生きていた。

 たとえば、カンファレンス・ファイナル第5戦で決めたブザービーターについて聞かれると「それは過去のこと。もう忘れた」と言い、あと4勝で達成できる優勝への思いを聞かれると「そこまで先のことは考えていない」と答えた。

 そんなアーテストが、テレビ・レポーターが持ってきた一枚の写真で突然昔に引き戻された。13歳の頃に撮影した、ニューヨークの地元チーム、リバーサイド・ホークスでの集合写真だ。大きなトロフィーを囲んでいるところを見ると、何かの大会で優勝した直後らしい。

「ワオ。懐かしいな」とアーテストは17年前に思いを馳せた。「あの頃、僕らはたくさん優勝していた。どの試合も大差で勝っていた」

「あの頃から僕らはNBAでプレーしたかった」

 写真にはもう一人、レイカーズの選手が写っていた。同じニューヨーク・クイーンズ出身の幼馴染、ラマー・オドムだ。「あの頃から僕らはNBAでプレーしたかった」とオドムも当時を思い出した。

 アーテストがレイカーズに入るきっかけとなったのもオドムだった。2年前、初めてのNBAファイナルに出たオドムの応援にボストンまで駆けつけたアーテストは、レイカーズがフィジカルなセルティックスにコテンパンにされ、優勝を逃したのを見て、自分のディフェンスでレイカーズを、オドムを助けたいと思い始めたのだった。

 レイカーズは昨季、優勝を果たしたが、アーテストの思いは続き、去年夏、FAになるとすぐにレイカーズと契約した。「契約金はいくらでも構わなかった」とアーテストは言う。

第7戦では止めを刺す3ポイントを挙げたアーテスト。

 そして6月、アーテストはレイカーズのユニフォームを着て、セルティックスを相手にNBAファイナルを戦っていた。2年前のファイナルでMVPを取ったポール・ピアスを徹底マークで抑えた。さらに優勝決定戦となった第7戦では20得点をあげ、止めを刺す3ポイントも決めた。

「信じられなかった。僕が、優勝決定戦でインパクトを残すことができるなんて!」と、アーテストは興奮気味に語った。彼にとっては、ニューヨークの街を離れて以来、初めての優勝だった。

 そんなアーテストの嬉しそうな顔を見て、オドムも「幼馴染といっしょに特別なことを成し遂げられたことが嬉しい」と喜んだ。「ロンは子供の頃から、いつもハードワークなやつだった。彼がどれだけいい選手なのかを、世界に向けて見せるチャンスがあったことが嬉しい」

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