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優勝後に呪文が解けた
ブライアントの“告白”。
~セルティックス戦の重圧~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byYukihito Taguchi

posted2010/06/29 06:00

優勝後に呪文が解けたブライアントの“告白”。~セルティックス戦の重圧~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

第7戦は徹底マークの中で23得点15リバウンドと活躍。2年連続ファイナルMVPに輝く

 NBAファイナルが始まると、コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)はポーカーフェイスの仮面をかぶった。笑顔を見せず、感情を仮面の下に押し込め、記者会見では短い言葉でぶっきらぼうに答える。

 嘘もついた。指や膝、足首の故障について聞かれると「大丈夫だ」と言い、対戦相手のボストン・セルティックスへのライバル心を聞かれると「相手がどこでも関係ない」と言い切った。

 呪文は、優勝を決める試合のブザーが鳴るとともに解けた。

「君たちには嘘をついていたんだ」

 試合後、ブライアントは告白した。表情は柔らかく、言葉は饒舌に戻っていた。

「セルティックスに勝つことは大きな意味を持っていた」

「僕は(子供の頃から)レイカーズ狂だった。両チームの歴史も知っている。セルティックスに勝つことは大きな意味を持っていた。でも、試合に集中するためにはそのことを考えていられなかった」

 そこまで感情を押し殺しても、第7戦では、勝ちたいという感情が強すぎて空回りしていた。加えて故障や疲労もあった。シーズン中に剥離骨折した指ではボールをコントロールできず、疲れから耳鳴りがして、ファンが彼の名前を合唱していたのも聞こえなかったという。

「とにかく勝ちたかった。でも、気持ちが強すぎると手からすべり落ちてしまうことがある。そうなったときにチームメイトたちが助けてくれた」

W杯観戦の封印を解き、南アまで母国の応援へ。

 ブライアントがオフェンスのリズムをつかめずに苦しんでいる間、ロン・アーテスト、パウ・ガソル、デレック・フィッシャーらがオフェンス面で貢献し、チーム・ディフェンスで踏ん張った。

「チームとして努力し続けた。コービーも終盤に大きなフリースローを決め、勝負どころでシュートも入れてくれた」とガソルが言うと、ブライアントは「スペイン人がすごかった。彼抜きでは勝てなかった」とガソルを賞賛。「これまでの優勝で一番嬉しい」と喜んだ。

 大のサッカーファンのブライアントだが、ファイナル中はW杯観戦も封印していた。自分の戦いが終わり、近々、南アフリカまで見に行くのだという。アルゼンチンのメッシと親しいが、応援するのはあくまでアメリカ。「たとえ友人でも関係ない」と断言する。自分の戦いが終わった後も、その闘争心は健在だ。

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