不甲斐ない師弟コンビが見切りをつけられる日はいつ？

｢前向きに改善に努めるだけだ｣と語るベニテスの表情は、3日前の準決勝後とは一転して蒼ざめていた。決勝に駒を進めた時点では、｢帰国後に連勝を重ねればプレミアリーグでも優勝戦線に返り咲ける｣と発言していたが、連勝街道に乗る勢いを生むはずのタイトル獲得による自信を、横浜で手に入れることはできなかった。

　決勝で敗者となった選手たちが得たものは、極東遠征で中2日となった連戦による体の疲れと、敗戦後にルイスが流した大粒の涙に象徴される心の痛み。そして、何より、大一番で無得点が強調される結果となったトーレスが背負う、移籍後最大級のプレッシャーと危機感。

　何らかのきっかけが生まれたとすれば、それは、堪え性のなさで知られるオーナーが、新エースと暫定監督の師弟コンビに見切りをつけ始めるためのものだろうか？ 期待の男は輝かず、空路イングランドへと戻るチェルシーの行く手には、更なる暗雲が立ち込めるクラブW杯となった。