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CLで「死の組」を突破。
ウクライナの雄、躍進の理由。
~“ブラジル化”するシャフタール~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byTomoki Momozono

posted2012/12/20 06:00

第4節チェルシー戦で得点を挙げたウィリアン(左)。チェルシーが獲得を狙うとの情報も。

第4節チェルシー戦で得点を挙げたウィリアン(左)。チェルシーが獲得を狙うとの情報も。

 昨季の王者チェルシーとセリエA覇者ユベントスが同居する“死の組”を突破し、CL決勝T進出を決めたシャフタールが賛辞を浴びている。

 賞賛が集中するのは、欧州ビッグクラブが獲得を狙うウィリアンやフェルナンジーニョらのブラジル人選手たちだ。事実、グループリーグで決めた12得点中10点をブラジル人選手が決めており、彼らは完全にチームの顔になっている。

 しかし、そんなブラジル人の活躍の陰に隠れながらも見逃せないのが、アフメトフ会長とルチェスク監督の存在だ。

 シャフタールを国内外で優勝を狙えるチームにすると夢見ていたアフメトフは、ガラタサライの監督だったルチェスクの攻撃的サッカーに心酔。何度もチャーター機を送り、3年間説得し続けるという狂信的な熱意で契約にこぎつける。

 鉄鋼事業で財を成したアフメトフは、ウクライナ1の富豪でもある。金満オーナーが好みの監督を呼びよせ、有名選手を補強するだけならよくある話だが、彼が違ったのは結果が出ずともルチェスクを信頼し続けた点だ。獲得資金を投じながら望んだタイトルを獲得できない年もあったが、彼はルチェスクに長期政権を任せ、移籍市場における最終権限さえ持たせた。マンUにおけるファーガソンのような権力を与え、月日をかけ着実にチームを強化していったのである。

才能ある若手を獲得する方針を貫き通した、会長と監督の堅い信頼。

 移籍におけるポリシーを、有名選手ではなく才能ある若手ブラジル人とする方針を決めたのもふたりで、そのためにクラブ環境の改善にも取り組んだ。今では練習場にシュラスコができる施設まである。監督就任当初は東欧に馴染みのないブラジル人選手の説得に手を焼いたというが、現在は9人ものブラジル人が在籍する大所帯に。

 彼らの活躍と、充実したクラブ施設はブラジルにも知れ渡り、現在は選手側から売り込みがくることが多いという。「様々なクラブで指揮をとったが、このような会長との関係が理想だった」と語るルチェスク。

 華麗なブラジル人の活躍の裏にあるのは、そんなオーナーと監督の堅い関係だ。

 ちなみに監督の名前とピッチ上のサッカーがコロコロと変わるチェルシーはグループ敗退。“死の組”の2クラブが分けた明暗は、オーナーと監督の信頼が築く長期政権の意味を再確認させてくれた。

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