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<日本フェンシング第2章へ> 太田雄貴&男子フルーレ団体 「もうひとつのメダルは仲間とともに」 

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折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byAsami Enomoto

posted2012/07/16 08:01

<日本フェンシング第2章へ> 太田雄貴&男子フルーレ団体 「もうひとつのメダルは仲間とともに」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

それぞれの選手が語った五輪出場への思い。

 準エース格の千田は「世界選手権でバルディニに勝ったことで研究さえすれば何とか行けると感じた。アタック後の戻りも速くなっているから、そこからの切り返しのスピードも上げていきたい」と意気込む。

 残りの2席を争う淡路は「世界選手権では自分をコントロールできた時には楽に点を取れると感じた。自分の感情とスピードをいかにコントロールするかが課題」と自分自身を分析し、三宅も「まだ自分でこうやろうと思っても迷いが出て止めてしまうことがある。それをやりきることが必要だと思う」とワンステップ上を目指している。

 昨年の世界選手権に帯同しながら出場機会がなかった福田と、代表入りを逃した市川は「ラストチャンスだと思っている」と気合いを入れ、昨年の全日本選手権優勝で代表チーム入りした藤野は「今年に入ってからやれるという気持になっている」と熾烈な争いの中での五輪出場に懸けている。

「団体戦には特別な思いがあります」(太田)

 1月のW杯パリ大会団体戦で日本は7位に終わり、フランスに抜かれてランキング4位に落ちた。さらに交通事故で離脱していた北京五輪王者のベンヤミン・クライブリンクが復活してきたドイツが2位になり、ランキングでは日本に12点差と迫っている。太田が予想したような展開になってきた。

 W杯団体戦の残りは2試合。現在のランキングを考えると五輪出場権の獲得は確実視されるが、ロンドンでのメダル獲得という目標のためには、1回戦でランキング下位と戦える4位以内での切符獲得が必要不可欠だろう。

 太田は自分自身の復調と、その先にある団体戦への強い思いを胸に秘めている。

「団体戦には特別な思いがあります。誰と五輪へ行くことになっても、目標は世界をアッといわせるような戦いを見せること。まず個人戦で北京の時のような感覚を味わいたいですし、それができれば自然と団体戦でも気持ちが乗ってくると思います」

 五輪という大舞台を前にターニング・ポイントを迎えている日本。その命運は、チームの魂でもあるエースが握っている。

※3月末時点の世界ランキングで日本は、アジア・オセアニア枠を争う韓国を上回り、五輪出場権を獲得。その後、5月25日に、代表選手4名が発表、千田、太田、淡路、三宅の4人が選出された。

「フルーレとは?」

エペ、サーブルとある3種目のうち1番基本となる種目。攻撃は「突き」だけで構成され、ポイントの有効面は胴体部分のみ。得点には先に腕を伸ばし剣先を相手に向けた方が得られる「攻撃権」が必要になり、逃げながら突き出しても得点にはならない。相手の剣を払うことで攻撃権を奪い返せる

「団体戦のルール」

4名でエントリー。各3分の9ピリオド制で争われ、9ピリオドで計45点を先取した方が勝利。3人が出場して(選手交替が可能)異なる相手と3度戦い、一方が5点先取すると次のピリオドへ。各ピリオドでリード側の得点がピリオド数の5倍に未到達の場合は時間内でその得点になるまで試合は続く。

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