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太田雄貴が世界選手権に
意気込む2つの理由。
~フェンシング発祥の地で頂点へ~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAtsushi Tomura/AFLO SPORT

posted2010/10/27 06:00

太田雄貴が世界選手権に意気込む2つの理由。~フェンシング発祥の地で頂点へ~<Number Web> photograph by Atsushi Tomura/AFLO SPORT

5月のW杯東京大会で優勝した太田。11月に世界選手権を戦い、「太田雄貴杯」を開催する

 フェンシングの世界選手権が来月4日に開幕する。今回はフェンシング発祥の地フランス・パリでの開催だけに、各国の選手もひときわ重視している。むろん、日本代表の太田雄貴も同様だ。

「僕自身の価値観では、オリンピックよりも上かもしれません」

 こう語る太田にとって、2つの点で大きな意味を持つ大会となる。

 まずは成績面での重要性である。'08年の北京五輪で銀メダルを獲得した太田は、昨年、期限付きでフランスのチームに移籍し活動。日本人選手として初めて国際フェンシング連盟のランキングで1位となり、ワールドカップでも5年ぶりに優勝を果たすなどの活躍を見せた。

 だがその後、怪我に苦しめられ、不本意な日々を過ごしてきた。今年は納得のいかない結果に終わることも少なくなかった。それだけに、「この大会が終わってこそロンドン五輪が見えてくる」と目標にしてきた世界選手権での好成績が意味を持つ。

「太田雄貴杯」創設の根底にある太田の思いとは。

 もうひとつは普及面だ。太田は競技生活のかたわら、さまざまな活動を行なってきた。フェンシング選手会の立ち上げに動き、勉強会も始めた。小学生向けの大会「太田雄貴杯」を企画して創設したのも普及活動の一環である。

「競技のための環境作りや普及のためにもきちんと声をあげていかなければならないと思った」と、意図を説明するが、さらにその根底には2つの要因がある。北京五輪時に「就職先を募集しています」と語ったように、競技を続ける環境が整っていないと身をもって知っていること。そして事業仕分けの際には、アスリートを代表する形で記者会見に出席し、スポーツの現状を訴える発言をしたが、渦中でスポーツへの理解不足を知ったことだ。

「ただ自分の利益だけ考えるなら面倒くさいことかもしれない。でも自分はフェンシングを通じて多くのことを学んできた。受け取ったものは還元していくのがトップアスリートの使命だと思う」

 普及や認知に直結するのは、成績であることも忘れてはいない。だから世界選手権への抱負をこう語る。

「もちろん(表彰台の)いちばん上のところを狙います」

 使命感とともに挑む太田の持ち帰る結果を楽しみにしたい。

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