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全力プレーで流れを変える、
クリッパーズの人気者。
~R・エバンスが会場を沸かす理由~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2012/05/31 06:01

全力プレーで流れを変える、クリッパーズの人気者。~R・エバンスが会場を沸かす理由~<Number Web> photograph by Getty Images

ラプターズから今季移籍してきたエバンスは、献身的なプレーでロスのファンの心を掴んだ。

 数字だけでは価値が測れない選手がいる。

 たとえばこの選手。今季のスタッツを並べると1試合平均1.9点、4.8リバウンド、0.3アシスト、フリースロー成功率50.7%と、まったく冴えない。ロサンゼルス・クリッパーズの控えフォワード、レジー・エバンスである。

 しかしそのエバンス、クリッパーズ・ファンの間では大人気なのだ。彼が試合に出てくるだけで、「レジー! レジー!」と名前の合唱が始まる。ボールを持ったり、ましてや得意のリバウンドを取ったりしたら、それこそ2万人のファンが全員、声をあわせて「レジー! レジー!」と大喝采になる。

エバンス人気の最大の理由は、スタッツよりも“ハードワーク”。

 不思議なのは、ファンが名前を呼んで熱狂するのは、チームを操る名ポイントガードのクリス・ポールでも、派手なダンクで会場を沸かせるブレイク・グリフィンでもなく、エバンスだということだ。もっとも当の本人は「ファンは僕のハードワークに感謝してくれているんじゃないかな。大学のときも、他のチームにいたときも、こういうことはあったから」と、平然と言う。

 確かに、ハッスルプレーはエバンス人気の最大の理由だ。ファンは、得点などのスタッツにこだわらず、いつでも身体を張って全力でプレーするエバンスがお気に入りなのだ。しかも、エバンスはファンの期待に応えるかのように、大事なところでリバウンドを取ったりルーズボールを奪ったりと、勝敗の鍵となるプレーを決めるのだから、盛り上がらないわけがない。

エバンスのリバウンドに沸き起こる「レジー! レジー!」の大合唱。

 クリッパーズがプレイオフ1回戦を勝ち抜いたのも、エバンスの力が大きかった。最大27点差で負けていた第1戦では、「まだ諦めないぞ」とチームメイトを叱咤激励し、4Qだけで8リバウンドを取り、相手のエースを抑えるディフェンスで逆転の原動力となった。オーバータイムにもつれた第4戦でも、流れを引き寄せるリバウンドを取った。

 3勝3敗からの敵地での第7戦、クリッパーズはエバンスら控え陣の活躍で勝利、カンファレンス準決勝進出を決めた。

 ただ、勝ったとはいえ、エバンスにはひとつ後悔があった。

「第6戦で決めるべきだった。ファンの前で決められなかったのが悔しい」

 それから1週間後、クリッパーズはホームのファンの前で、シーズン最後の試合を戦った。カンファレンス準決勝で、強敵サンアントニオ・スパーズ相手に4連敗で負けたのだった。

 それでも、エバンスらクリッパーズ選手たちも、会場を埋めたファンも、最後まで勝負を諦めなかった。そして、エバンスがリバウンドを取ると、チームカラーの赤色に染まったスタンドからいつものように合唱が広がった。

「レジー! レジー!」

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