SCORE CARDBACK NUMBER

ローズの負傷離脱で
奮い立ったブルズの面々。
~シカゴの街とキャプテンのために~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/05/10 06:00

ローズの負傷離脱で奮い立ったブルズの面々。~シカゴの街とキャプテンのために~<Number Web> photograph by Getty Images

リーグを代表するPGの負傷は、五輪の連覇を狙う米国代表にとっても痛い結果となった。

 その瞬間、ユナイテッド・センターを埋め尽くしていた2万人以上のファンがしんと静まり返った。

 4月28日、東の第1シード、シカゴ・ブルズは、ホームコートでフィラデルフィア・76ersを相手にプレイオフ初戦を戦っていた。試合残り時間が1分半を切り、勝利を確信した会場が喜びに満ち溢れていた次の瞬間、ブルズのエースで、昨季のリーグMVPのデリック・ローズが床に倒れこんだ。ジャンプストップから両足で踏み切った時に、左膝の中で何かが弾けたのだという。

「何か」は靭帯だった。左膝の前十字靭帯断裂、全治6~8カ月の重症だ。当然今プレイオフの出場は絶望である。

 今シーズン、ローズはずっと優勝だけを考えていた。1年前、カンファレンス決勝でマイアミ・ヒートに敗れ、コートを去ったときの光景、そのとき感じた悔しさが忘れられなかった。

 しかし、思いの強さと現実は一致しなかった。開幕当初から故障続きで、つま先から始まり、腰、股関節、足首を次々と痛め、レギュラーシーズン66試合のうち27試合を欠場した。プレイオフ直前にようやく本調子でプレーできるようになった矢先の、靭帯断裂だった。

ローズが不在でも十分リーグトップを争える強さ。

 ローズが離脱したことで、東はヒートの独壇場になったと言う専門家も多い。実際、ローズを欠いたブルズでは、たとえカンファレンス・ファイナルまで駒を進めたとしても、昨季よりパワーアップしたヒートに勝つことは困難に思えた。

 しかし、ブルズの面々はその考えには屈しようとしなかった。

「僕ら自身のことを、メディアをはじめ、誰にも勝手に決めつけてもらいたくない」とジョアキム・ノアは言う。「(ローズ欠場は)痛い。でも、レギュラーシーズン中、彼がいない時も僕らはいいプレーをしてきた」

 確かに今季、ローズが欠場した27試合のブルズの成績は18勝9敗、勝率67%。ローズが出場した39試合の勝率82%とは比べ物にならないが、十分にリーグのトップを争える強さだ。第一、どこにも負けないディフェンスとリバウンドがある。

 控えガードで、ローズと親しいジョン・ルーカス三世は言う。

「戦う理由がもうひとつできた。シカゴの街のためだけでなく、これからはキャプテン(ローズ)のために戦う」

関連コラム

関連キーワード
シカゴ・ブルズ
デリック・ローズ
NBA

ページトップ