3時間、4時間もの長丁場を飽きさせず見せる演出。

　ある選手がティーショットを放ち、画面が切り替わると別の選手がパットを打ち、次はまた別の選手がアプローチをしている。各ショットがあまりに理路整然と並んでいる中継は平板である。メジャーの中継は3時間、4時間の長丁場。それでは視聴者に飽きられかねない。

「わざとでもいいからもっと緩急をつけてもらいたい。中身の濃いところばかりでなく、薄いところにも良さがあったりするからね」

　フェアウエイをキャディーと談笑しながら歩く選手。トラブルショットを前にあれこれと頭を悩ませている選手。そうしたものを挟んで抑揚をつけながらプレーを見せる。それが中継にリズムを生む。

　森下アナが「あれはよかった」と振り返るのは昨年の全英オープン最終日である。

「ダレン・クラークの涙の表彰式をずっと生で流すというゆったりした作りにしてくれたんです。いつもならあそこは凝りに凝ったハイライトを入れて歌い上げてサヨウナラとなるんだけど、力作の作り物より、まさに今そのままの空気感を伝えた方がいいと中継車側も判断してくれた。それがすごくうれしかった。時々そういう風に一致する時があるんです（笑）」

癖の強い解説陣と共に、今年も長い4日間を楽しむ！

　5月21日には全米オープン日本地区最終予選が行われ、日本勢は谷口徹と藤田寛之、高山忠洋が全米オープンの出場権を勝ち取った。さらに石川遼も世界ランクで出場資格を獲得。大会にはもちろんタイガー・ウッズやロリー・マキロイといった海外の強豪も顔をそろえる。

　森下アナにとっては、放送席でモニターを眺めながら、ひと癖もふた癖もある解説陣を切り盛りし、中継車とのやりとりに少しやきもきしたりする。今年もそんな4日間になるはずである。