日本代表、2010年への旅BACK NUMBER

JリーグMVP男が見せた闘志。
小笠原満男は日本代表をどう変える? 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshiya Kondo

posted2010/01/24 08:00

JリーグMVP男が見せた闘志。小笠原満男は日本代表をどう変える?<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

「今はとにかくコンディションというか、体づくりですね。合宿に入ってますよ、もう(笑)」

 3年半ぶりに日本代表に復帰した小笠原満男は、寒風吹きすさぶ鹿島アントラーズの練習グラウンドで自主トレの毎日を送っていた。

 ある日の午前中、ミニゲームなどでしっかりと汗を流して「かなり疲れました。午後はどうするか考えます」と言いながら、午後も精力的にグラウンドで走りこんで“2部練習”を敢行。週明けからスタートする代表合宿に向けて準備に抜かりはなかった。いつものポーカーフェイスをやんわりと崩して冗談を交えながら話すその口ぶりからも、静かな意気込みは伝わってきた。

岡田監督はどれほどの覚悟で小笠原を代表招集したのか?

 満を持しての代表復帰である。

 鹿島を3連覇に導き、'09年のJリーグMVPにも輝いた小笠原の名前はこれまでも岡田ジャパンでたびたびリストアップされてきたものの、招集を見送られてきた。鹿島のオズワルド・オリヴェイラ監督が優勝を決めた最終節の会見で「小笠原のような選手が、W杯をテレビで観ている状況になってはいけない」と異例の発言をしたり、元代表監督のフィリップ・トゥルシエも期待する選手として小笠原の名前を挙げるなど“小笠原待望論”は年が明けるころには最高潮に達していた。

 こうした声に応えるように岡田武史監督は1月13日の代表メンバー発表会見でこう述べている。

「(小笠原は)呼んで外して、呼んで外してというのをできる選手ではない」

 これまで招集に踏み切らなかったのは、小笠原を呼ぶならレギュラーで扱う以外にない、との判断があったことを暗に言っている。サブでは使えない扱いにくさがあるということだ。さらに、経験のある国内屈指の司令塔をサブ要員として招集すれば、歪みが生まれてしまう怖れがある。ベンチに置くことで小笠原自身が不満分子になる危険性もあるが、むしろ、小笠原が使われないことを周囲が疑問に感じ、チームの結束力が揺らぐことを懸念した。ジーコジャパンで「国内組」の中心であった小笠原という選手は、チームにそれほどの影響力を与えかねないと指揮官は分析していた。

小笠原のプレーに見えた、ある重要な変化。

 岡田監督は今回の招集を「ある程度計算していた(招集の)タイミング」と話す。

 チームがある程度完成しているこのタイミングならば、小笠原の加入が“劇薬”だったとしても、チームにプラスにはなってもマイナスにはならないと判断したのだろう。

 しかし招集の決め手となったのは、やはり小笠原のなかに見えた変化、ではないだろうか。献身的に走り、守備をいとわない新たなプレースタイルだけでなく、チームを一つにさせる強烈なリーダーシップは、ジーコジャパンのときの小笠原には感じられなかったことだ。小笠原を呼ぶタイミングを待つ一方で、岡田監督はじっくりと時間をかけてこの小笠原の変化を見極めていたような気がしてならない。もはや「呼んで外しては、できない」という思いは指揮官になく、サブに置いたとしてもチームのために働いてくれるという確信を100%得た、というのが指揮官の本音であるように思うのだ。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  もっとも大きな転機となった海外移籍とその後のJ復帰。

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