6月、オランダとの再戦でエンタメ性の高い好試合を目にすることはできるだろうか

高貴なる敗戦が観たい!
日本代表に必要な「真の強化」とは?

杉山茂樹 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Shigeki Sugiyama

photograph by Takuya Sugiyama

高貴なる敗戦が観たい!日本代表に必要な「真の強化」とは?

 ケープタウンで開かれたワールドカップ本大会の抽選会から、早くも1カ月半以上が経過した。

 カメルーン、オランダ、デンマークとの対戦が決まると、協会の上層部は「岡田ジャパンを協会としても全面的にバックアップしていく」とか「弾丸ツアーでもいいから、強豪と敵地で試合がしたい」とか、威勢のいい台詞を口にした。

 だがこの間、マッチメイクの話はひとつも具体的になっていない。

 行なわれた試合も、若手で臨んだイエメン戦だけにとどまっている。

 今の時期はシーズンオフ。昨年の疲れを落とす時期である。選手が休むのはいいとしても、監督やコーチおよび協会関係者は別だ。

W杯本番並みの強豪国との大会前試合は、結局無しに?

 少なくとも今、決まっている国際試合は、2月2日のベネズエラ戦と東アジア選手権、それからアジア杯予選を戦うバーレーンとのホーム戦だ。当初の報道では、強豪との対戦は今にも実現しそうな勢いだった。スペインとか、フランスとか、イングランドとか、有名国の名前が次々に挙がっていた。それが今や完全な尻すぼみ状態にある。このままワールドカップを迎える気なのだろうか。

 予選の相手は弱者。本番の相手は強者。

 このギャップを埋める作業をせずいきなり本番では、結果は見えている。そもそもこの4年間、日本代表はまともな相手とごくわずかしか試合をしていない。アジアの弱小チームと、B代表あるいはそれ以下のメンバーで来日する怪しげな代表チームと、ホームで戦うゆるい親善試合ばかり繰り返してきた。それで目標がワールドカップベスト4と言われても、本気には聞こえない。マッチメイクからは、ワールドカップで勝つ意気込みが、まるで伝わってこないのだ。

日本代表のエンタメ性は日本サッカー界全体に影響する。

 日本代表は、日本のサッカー界で、最も模範的であり魅力的なチームだ。したがって、その国際試合は、日本サッカー界最大のエンターテインメントになる。日本サッカーの人気の源泉そのものになる。そのエンタメ性が高いか低いかで日本のサッカー人気は上下する。

 強豪チームとのアウェー戦が少ないことは、そうした点からも問題になる。弱者相手に順当な勝利を収めることと、強者にきちんと叩かれることと、エンタメ性はどちらが高いか。弱者にひとつ勝ったら、強者にひとつ叩かれる。少なくともバランス的には、これこそが好ましい姿になる。エンタメ性という視点に照らしても同様だ。むしろ、弱者から奪った勝利より、強者にきちんと叩かれる試合のほうが「面白い」と言いたくなる場合がある。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  敗戦という事実に勝るエンタメ性がサッカーにはあるのだ!

筆者プロフィール

杉山茂樹

1959年7月8日生まれ。静岡県出身。大学卒業後、フリーのライターとして「Sports Graphic Number」やサッカー専門誌などで執筆するほか、解説者としても活躍中。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「ワールドカップが夢だった。」(ダイヤモンド社)、「サッカー世界基準100」(実業之日本)、「4-2-3-1」(光文社新書)、「日本サッカー偏差値52 」(じっぴコンパクト)などがある。


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