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中澤、闘莉王に強力ライバル!
“世界サイズ”のCB岩政大樹。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byNaoya Sanuki

posted2009/10/13 15:00

中澤、闘莉王に強力ライバル!“世界サイズ”のCB岩政大樹。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 石川直宏、森本貴幸ら岡田ジャパン初招集組ばかりが注目を集めるなかで、初招集から1年8カ月を経てようやくA代表デビューを果たした男がいる。香港戦から中1日、先発11人を入れ替えて臨んだスコットランド戦で、岩政大樹が先発のチャンスを得たのだ。

「疲れましたね、ヘディングしすぎてしまって……。無失点に抑えられてよかったとは思います。A代表デビュー? 自分のようにデビューまでこんなに時間のかかった選手っているんですかね」

 阿部勇樹とのコンビでスコットランドを無得点に封じた岩政はそう言うと、口もとにそっと苦笑いを浮かべた。

岡田監督からCBとして十分な合格点を勝ち取った岩政。

 主力の多くが来日できなかったスコットランドは2軍に近いメンバーだったとはいえ、体格では明らかに日本を上回っていた。テクニックで日本に劣るスコットランドは、ロングボールを多用した。188cmのリー・ミラーや、後半にそのミラーに代わって入った186cmのスティーブン・フレッチャーをターゲットに、活路を見出そうとしていた。

 それでも中澤佑二、田中マルクス闘莉王にもヒケをとらない187cm、85kgの“世界サイズ”の岩政は、空中戦のほとんどで競り勝った。前線に放り込まれるボールをことごとく跳ね返して攻撃の芽をつむだけでなく、カバリングも実に的確であった。その結果、90分間を通じてわずか1本のシュートしか相手に許さなかった。

 岡田武史監督は試合後の会見で、岩政のパフォーマンスに高い評価を与えている。

「高さではほとんど負けていなかった。相手によっては、彼の高さ、強さを十分に活かせるんじゃないかと(思っている)。自分の特徴を出してくれた」

 中澤、闘莉王に続く選手を探していた指揮官はこれまで寺田周平、高木和道らサイズの大きいセンターバック候補を数多く招集してきたが、定着する選手はいなかった。それだけに岩政の安定した守備には、胸を撫で下ろしたのではないだろうか。

代表から外れた後も、岩政は更なる高みを目指して戦っていた。

 岩政にとって、代表復帰までの道のりは簡単ではなかった。

 岡田ジャパンの立ち上げ時のメンバーであり、2008年2月の東アジア選手権までは招集されていた。だが、3月以降お呼びが掛からなくなってしまう。

 高さ、強さはあっても、スピード不足を指摘する声も少なくはなかった。迷いのなかにあって、岩政は高さと強さをより磨くために重心を崩さないバランスの矯正を目的に、陸上競技の末續慎吾が取り入れたことでも知られる「ナンバ走り」や狂言の「すり足」を研究したという。

【次ページ】 岩政の活躍が、中澤、闘莉王をさらに本気にさせるはず。

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