チャンピオンズリーグの真髄BACK NUMBER

180分で1試合。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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posted2006/11/13 00:00

180分で1試合。<Number Web> photograph by AFLO

 各組4チームによる総当たり2回戦制。ホーム3試合、アウェー3試合の計6試合で争われるグループリーグ。しかし、3週目と4週目の戦いには、どこかトーナメント的な匂いがある。同一カードが、立て続けにホーム&アウェーで争われるからだ。第3週目を前半とするならば、第4週目は後半。90分×2の180分が連続する2試合で1試合の戦いに映る。

 UEFA主催の大会では、リーグ戦の順位を決定する際、勝点で並んだ場合には、得失点差ではなく、直接対決の結果に優劣の基準が置かれる。3週目と4週目の直接対決の結果は、その意味でも注目すべき一戦になる。

 中村俊輔所属のセルティックは3週目に行われたホーム戦で、ベンフィカに3−0の勝利を収めた。第4週に行われるそのアウェー戦で2点差以内の敗戦を喫しても、最終的に勝点で並んでも、ベンフィカに勝ることができる。それこそがクリアすべき最低の条件だった。しかしセルティックは0−3で敗れた。勝点で並んだ場合、次なる基準である得失点差、総得点に優劣を委ねることになった。

 第4週を終了して、セルティックは勝点6で2位。ベンフィカは勝点4で3位。得失点差はセルティック0に対し、ベンフィカ−1。総得点はセルティック6で、ベンフィカ4。グループリーグ突破を目前だったセルティックは、一転、ベンフィカ猛追を許す微妙な立場に追い込まれた。

 ホーム3−0、アウェー0−3。それにしても、ホーム&アウェーの真髄を見るかのような極端な結果だ。それもこれも、第3週、第4週と試合が連続して行われたことと深い関係がある。ベンフィカは3週目の余韻が残る間に試合を行ったことが、強いモチベーションに繋がったのだと思う。初戦の0−3は、ベンフィカにしてはやられすぎだ。本来なら、せいぜい0−1が良いところだと思う。それが0−3になってしまった理由は、セルティックファンの、サポート精神以外の何ものでもない。このチームのサポーターは、少し異常だ。彼らは、ベンフィカのホーム「ルス」にも、1万3千人という大群を編成して現れた。サポーター賞という部門があれば、それは間違いなく彼らの頭上に輝くだろう。

 それはさておき、バルサとチェルシーのホーム&アウェーが、第3週、第4週にまたがって行われたA組も、2位争いが激化している。チェルシーに0−1、2−2で敗れたバルサは勝ち点5で3位。ブレーメンに2位の座を明け渡した。しかし、バルサにはまだ大きな可能性を感じさせる。ライバル、ブレーメンとの直接対決は、すでにアウェー戦を消化していて、そこでバルサは1−1の引き分け劇を演じている。後半44分にあげたメッシのゴールが、それでもバルサ優位を印象づける何よりの拠り所になっている。リーグ戦であってもアウェーゴールが、大きなウエイトを占める。ホーム&アウェーの原則が反映されている。そこにグループリーグのアヤがある。

 G組も第3週、第4週を終え、混沌をいっそう深めている。ここはCSKAモスクワ(勝点8)、アーセナル(7)、FCポルト(7)の三つどもえだ。アーセナルはそこでCSKAモスクワと対戦。結果はアウェー0−1、ホーム0−0だった。直接対決に敗れたわけだ。勝点1を積んでも、CSKAには追いつけないことになった。

 いっぽうポルトに対しては、ホーム戦で2−0の勝利を飾っている。アウェーで2点差をつけられる可能性は低い気はするが、ポルトは、得失点差、総得点ともに、他の2チームに勝っている。なんとも言えない微妙な情勢だ。

 バルサ、アーセナル、セルティック。はたして、馴染みの3チームがドジを踏むことはあるのか。昨季の優勝、準優勝チームが、軒並み苦戦しているところが興味深い。片や「我がバレンシア(注:前々回参照)」は、リーガ・エスパニョーラでは、いくぶん、足色を乱しているが、チャンピオンズリーグでは難なくグループリーグ突破を決めた。だがそれでも、相変わらずの人気薄。3大ブックメーカーの一つであるウイリアムヒルの予想では、10番手に甘んじている。

 いっぽうで、レアル・マドリー人気は4位にまで上昇している。次週第5週の相手は、チェルシー、バルサに次ぐ3番人気のリヨン。消化試合とはいえ、これは試金石の意味も兼ねている。セルティック対マンU、ブレーメン対チェルシーとともに、必見の試合と言えるだろう。

 それにしてもエトーの怪我は、バルサにとって大きい。大きすぎる。ロナウジーニョが役者不足に見えてくる、今日この頃だ。

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