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FW無しでもローマは死なず。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2006/11/10 00:00

FW無しでもローマは死なず。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 「FWがいなくても勝てる」

 ASローマ・スパレッティ監督のこの刺激的な発言は、3位という順位が十分証明している。

 昨シーズン、主力トッティの不慮のケガやFWモンテッラの背中痛によりストライカー不在という状況に見舞われたローマが、リーグ新記録となる11連勝を成し遂げたのは記憶に新しい。今季も、ミッドフィルダーの効果的な攻撃が勝利をもたらしているのだから、指揮官が「FWがいなくても……」と言うのも無理はない。

 意図してFWを外したチームづくりをしたわけではない。シーズン前にはレッチェからFWブチニッチを獲得。しかし、彼もケガで離脱してしまい、さらにはトッティが、得意とするPKを4回のうち3つも外す失態を演じた。結局は昨シーズンに逆戻り。中盤の選手が点取り役を担わなければならなくなったのである。

 中心となっているのはブラジル人MFマンシーニとMFタッディの2人だ。マンシーニは昨季の11連勝中に7ゴールを叩き出した。タッディは今季リーグで3ゴールを挙げている。走れる、動ける、点をとれるといったサッカーセンスを持つサイドMFの活躍が、チームを勝利に導いている。

 そしてW杯優勝組のMFデ・ロッシが効いている。W杯では3試合出場停止に終わっただけに、その悔しさをリーグにぶつけるかのような執念がゴールを呼んでいる。パスの正確さと攻撃時のダイナミックさは全盛期のレドンドを連想させる。司令塔と呼ぶに相応しい活躍が、イタリア代表の「10」をゲットするにも至った。

 ストライカーがいなければディフェンダーだって点取り屋になる。セリエAの魅力の一つに得点感覚が抜群なディフェンダーの存在があると、本コラムでも何度か紹介してきた。今季ローマはリーグ戦で得点を挙げた選手数が12人とセリエAで最も多い。その内、DFフェラーリとDFメクセスも1ゴールを獲得。ディフェンダーがゴールを奪うスタイルはローマにも定着している。

 MFペロッタ、ピサロなど、派手さはないが堅実な選手を揃えることで守備面がぐんと向上した。主力選手の流出の少なさでチーム全体に成熟度が増していることも強さの秘訣。11月5日現在、首位のインテル、2位のパレルモが、点は取っても失点がそれぞれ12、15と二桁である反面、ローマはわずか7失点と伝統の「カテナチオ」が機能している。

 この状況に、チームの大黒柱であるトッティもうかうかしてはいられない。フィオレンティーナ戦ではチームが敵の攻勢に苦しむ中、好守に奮闘した。自身の個人技を封じられたトッティが積極的に守備に回る。そんなパラドックスがローマの好調を支えている。

■関連コラム► そしてセンターフォワードはいなくなった (2007年4月2日)
► トッティの悲劇。 (2006年3月2日)

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