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浦和、G大阪がもたらしたJリーグの新しい楽しみ方。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2008/12/18 00:43

 大混戦のJ1が決着した。と言いたいところだが、この原稿は締め切りの都合で最終節を前に書いている。現時点で優勝争いは、鹿島、名古屋、川崎に絞られている状況だ。'05年には5クラブが優勝の可能性を残し、最終節を迎えたことを思い出すと、大混戦の結末としては物足りなさがないではない。

 しかし、優勝の可能性がなくなった4位大分、5位FC東京も、戦闘意欲が衰える気配はない。というのも、今季からJ1上位3クラブにAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)の出場権が与えられることになったからだ。その副賞に「やはり魅力がある」とは、FC東京の羽生直剛。今季のJ1を振り返ったとき、“3位以内”は“優勝”と並んで、確実に各クラブの目標となりえていた。

 これはACLの大会方式変更による、出場枠拡大の産物ではある。だが同時に、昨季アジアを制した浦和がACミランと激闘を繰り広げ、ACLを勝つことの意義を知らしめたことが大きい。

 かつてのACLと言えば、日本勢はベスト8にさえ残れないのが通例だった。しかも、そんな惨状にもかかわらず、危機感が生まれない。過密日程にアウェーの悪環境、これじゃあ、負けても仕方がない。そんな緩慢な雰囲気があった。

 今季ACLを制したG大阪も、'06年の初挑戦時には、一次リーグ敗退に終わっている。山口智は当時を振り返って言う。

 「どこかで言い訳していた部分はある。負けても、こんなもんか、というところがあった」

 だが、昨季を機に状況は一変した。

 「Jで一緒にやっている浦和が(ACLを)勝ったことで、力を測れた。自分たちもノーチャンスじゃないんだ、と」

 ACLが負けてもいい大会だったのは、過去の話。山口は、「周りの目が、“勝って当たり前”になった。厳しい視線を感じる」とも言う。当の選手はもちろん、メディアやサポーターにも、ACLが“世界へ通じる道”として、その重要性を完全に認知されるに至った証拠だろう。

 順当ならば、今月18日、G大阪がマンチェスター・ユナイテッドとの真剣勝負を実現する。他クラブの選手、サポーターの気持ちが、くすぐられないはずがない。それがまた、来季J1の盛り上げに一役買うことになるのである。

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